第12話
その頃、ミスティ王国では、結婚式の用意が大々的に行われていた。
「ミシェル、政略結婚なんて、本当に後悔しないかい? 」
「ミケーネ、その話は何度もしたはずよ 」
ミシェルは不機嫌そうに言い返した。
ミシェルは続けて言う。
「ミスティ王国は農業しか取り柄がないし、ウィンディ王国は戦争は強いけど荒廃してる」
ミケーネは気まずそうに俯いた。
「私たち二人が結婚して、国が統合されれば、より一層強くなれるってミケーネも分かってるでしょ? 」
ミシェルは葡萄のジュースを飲みながら言った。
「でも、僕は本当はレイシアさんを愛している」
「愛している人を牢獄に入れたの? 」
ミシェルは笑った。
「それは、そうしないと君がレイシアさんに何をするか分からなかったから」
ミケーネは窓に手をかけると空を仰いだ。
雲一つ無い青い空が、余計に残酷に写った。
「レイシアお姉様なら大丈夫よ。翔とかいう勇者が一緒だもの」
ミシェルはミケーネの背後に立った。
「あんなひ弱そうな少年が、勇者かい?」
ミケーネが振り向くとおもったよりも近くに居たミシェルに驚いた。
「私、政略結婚でも後悔しないわ。だって、多くの人が幸せになるんですもの」
ミシェルは少し悲しそうに笑った。
「みんな、レイシアお姉様のことばかりで少し嫌になってしまうけれど」
「ミシェル・・・・・・」
ミケーネは何と言ってよいか分からなくなって、ミシェルを抱きしめた。
ミシェルは泣いているのか笑っているのか分からないけれど体がかすかに震えていた。
「あと、一週間で二つの国は一つになるのよ」
「ああ」
ミケーネとミシェルは無言で見つめ合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます