第32話 これで戻れるのかな?

梯子が立てかけられていた。


「我々以外には誰かいるか?」


「おりません。どうぞこちらを登ってください。」


謎の人物は警戒しながら梯子を登る。あまりバルドオを信用していないようだ。


「残りの方々もこちらへ……。」


バルドオは最後に登るらしい。


(ここはどこなんだ?)


よくわからずに梯子を登るシュガー。


「ごぎゃっ。」


「これで全員登り切りましたか……。」


バルドオが梯子を登った。


「ファイア。」


梯子に火が付く。


「……では、儀式を執り行う。」


「我らが偉大な魔王は、三千年前に勇者に倒されたとされてきた。しかし、それは違った。」


……そうだ。魔王は倒されてなどいない。


「勇者様は非常に勇敢な方であった。しかし、魔王は卑怯にも戦いから逃げ、この世界から逃亡した。」


それは違う!あれは勇者が使った魔法のせいだ。あいつは、自分の力では私を倒すことができないと理解し、私を、魔王をここへ放り込んだのだ!


そのせいで、私は……。


この、世界の狭間に、三千年も一人で……。


「「今、ここに我らは魔王を、この世界へと呼び戻さん。」」


「魔族が世を生み出すがために。」


「今こそ、魔王を滅ぼし、勇者様の血筋に栄光を!」


……。


まじで?


「偉大な魔王がこの世界に残された欠片。」


あれは……。

勇者との戦いで失った我が右の角ではないか!


「我が一族の家宝。三千年前に魔王を打ち破ったという聖剣。」


我が右の角を切り落とした剣か……。


「そして、王室に伝わるこの球形。」


なんだこれは?


「我が魂の傑作。分晩薬。」


謎の薬品が出てきた……。


「これで偉大な魔王が、再びこの地に君臨されるのだ。」


不安だ……。だが、もし戻れるというのなら、今度は……。

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