第30話 王都の近く

謎の人物の後をシュガーたちはついていく。


「結構長いですね……。」


「当然だ。王都まで続いているわけだからな。」


シュガーは歩き疲れたようだ。


「まだかなぁ……。」


「歩くの疲れたー!」

「転移するー!」


ダンジョンコアたちは歩くのをやめたようだ。


「じゃあ、行くよー!」


アレットが掛け声と同時にジャンプする。


「あれ?」


もう一回、ジャンプ。


「何にも起きないー!」


「当然だ。王都では勇者の血を引くものだけが魔法を使えるのだからな。」


謎の人物だ。結界のことを話しているらしい。


「でも、一度転移できたよー?」


「ありえないな。貴様が勇者の血を引いているわけなど万に一つもないからな。」


「できたのに……。」

「あっ、じゃあ王都のすぐそばまで転移するのはどう?」

「いい考え!さすがシャンタル。」


(やった。これ以上歩かなくて済むぞ!)


「じゃあ行くよー!」


エメの掛け声とともにシュガーたちが転移した。


「おい、私はどうした。」


謎の人物は置いてかれたようだ。


(ここは、俺がダンジョンコアたちに助け出された場所か。)


シュガーたちは王都から少し離れた場所に転移していた。


「なんかすごい音がするねー。」

「ほんとだー!」


 ドドドドドドドドドッ


「あれっ?音がしなくなった。」

「ちょうど真下で止まったー。」


 バサッ


突然地面から人影が現れる。


「貴様らっ!よくも私を置いていったな。」


謎の人物だ。転移してからまだ一分も経っていない。


「はやい!」

「でも、これで予定より早く王都までこれたんじゃないかなー?」


「ここまで来るために私はこれを使ってしまったんだぞ!」


謎の人物が空の瓶を見せつける。


「これってー?」


「……あ。」


あからさまに口を滑らしたといった感じで、謎の人物が口に手を当てる。


「……貴様らには関係ない。そんなことよりもだ、もう一度ダンジョンに潜ってもらうぞ。」


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