第20話 リベンジマッチ

「おーい、お兄さんの様子どうだったー?」

「なんか……すごいよー。」

「私も見るー!」


ダンジョンコアが全員地上に戻ってきた。


「早く椅子用意しないと……。」

「さっきの部屋には何もなかったし、どうしよう……。」

「……とりあえず、あの猫さんが返ってくるのを待とうよー。」


ゴブリンと男による踊りは続く。


「い、す。いす。」

「い~すいす~。」


だが、


「い……す。」

「いす?ごぎゃっ?」


男の体力が持たなかったようだ。


「あっ!」


ダンジョンコアたちが駆け寄る。


「私が回復魔法を打つー!」

「任せたー!」


アレットが掛け声をあげると、男は闇に包まれた。


「い、い、いす、いすっー!」


「……眠らせようよー。」

「賛成だー!」

「せっかく打ったのにー。」


「じゃあ次は私の番だねー!」

「エメ、手加減してあげてよー!」


このダンジョンコアはエメという名のようだ。


「いす?いすー!」


突然頭上に現れた木の枝。逃れようとする男。


「逃がさないよー!」


男は間に合わなかった。


「ぐぇっ。」


深い眠りへといざなわれる男。


(あれ、なんでこんなに頭が痛いんだ?)


(意識がもうろうとする……。だめだ……。)


「ふぅ、これでよし。」

「お疲れー。」


一仕事を終えたエメ。


「私も頑張ったー!」


アレットが不満そうだ。


「二人ともありがとー!」


ダンジョンコアが感謝を伝える。


「うん!」

「がんばったー!」


アレットとエメ、二人の活躍によってこの地に再び平静がもたらされた。


「いすっ!いすっ!」


ゴブリンが男に駆け寄る。


「あれっ、なんでお兄さんと同じ言葉を言ってるんだろー?」

「真似したのかもー。」

「眠らせてあげよー!」


「最後は私の仕事だねー!」

「シャンタルー、あの魔法を使ったらー?」


最後のダンジョンコアの名前がわかった。シャンタルだ。


「使ってみるー!」


シャンタルは空を見上げ、ゆっくりと首を傾ける。

その視線が通った場所に、白い光が残る。


「えいっ!」


白い光を蹴飛ばした。いや、光ではないのだろう。


「ごぐっ!ごぎゃっ!」


ゴブリンが唸ると、ガラス片のような何かがダンジョンコアに向かって放たれた。


「危ないっ!」


アレットが指からピンク色のもやもやを生み出し、ガラス片を防ぐ。


「あのゴブリン、魔法を使えるみたいだねー。」


ガラス片のように見える何かは、魔法だったようだ。

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