第16話 部屋数が足りない
ダミダミク、ダリア王国建国期の功臣である。サカッ山の鬼獣を征伐する際に案内役を担ったことから、ダリア一世の配下となる。建国後はタラムス公爵となるが領地に赴くことはなく王都の警備を行っていた。
歴史書に書かれているのはこの程度のことである。
建国期の功臣で公爵という地位にあり、後世まで子孫を残しているにしては情報が少なすぎる。
「まぁ、知らないか~。」
「それじゃあ、お互いの正体が分かったってことで、これからよろしく~。」
「えっ、それはどういうことなんでしょうか?」
「このダンジョンに暫く居させてもらうってこと~。」
「なるほど。承知しました。どこの部屋をお使いになりますか?」
「えー!」
「入れちゃうのー。」
「危険じゃないかなー。」
(俺だって入れたくねえよ!だが、逆立ちしたってこいつには勝てねえ。くっ、いつか追い出してやる!)
「このダンジョン、部屋一つしかなかったけど、あの部屋使っていいの~?」
「どうぞどうぞ、是非ともお使いください。」
「うぎゃっ、うぎゃっ。」
「あ~、ごめんごめん、うぎょっ、うが~。」
「このゴブリンたち、この辺で野営するって~。」
(嫌すぎる・・・だが。)
「いいですね!是非とも仲良くさせていただきたいです!」
「うぎゃっ、うぎょっ?」
(今は従おう。だがいずれ、いつの日か、このダンジョンを取り戻すぞ!)
「それにしても、このゴブリンたちよく言うこと聞きましたね。」
「ちょっとした魔法をかけてるんだよ~。」
「・・・もしかして、俺にも掛けてたりしますか?」
「どうだろう?わかんないね~。」
(もしかして、俺が考えていることって、筒抜けだったりする?)
男は再び冷や汗を流し始める。
(お~い、俺の考え見えてますか~?)
着ぐるみ男の様子を注意深く見る。
「どうしたの~?」
見られていることに気が付いたようだ。
「いや、その着ぐるみいいなって。」
(たぶん、大丈夫だ。)
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