9. 幼馴染の心の内は……

「あんなこと言うなんて、ずるい……」


ナルと別れて家に帰った後、私は1番にベッドに飛び込むとさっきの言われた言葉を思い出して1人身悶えていた。


『唯奈と話せないだけで、こんなに退屈なんだな……』


「ほんとにっ、ほんとにもうっ!」


しかもあんな事を素な顔で言うんだからタチが悪い。

もしあんな感じのこと石居さんに言っちゃったりなんかしたら……


「ダメっ!」


ぽすっと、私のパンチを枕が優しく受け止めてくれる。


「でも、今日のは私が悪かった……」


今日ナルに冷たくてしまったのはナルのせいとかじゃない。

お昼休みに、ナルと石居さんが楽しそうに話してるのを見て私が勝手に嫉妬しちゃっただけ。


「こんなのじゃ、ダメ……」


こんな私じゃ、ナルとまったく釣り合わない。

もっともっと、私は──


「そうね〜?だって唯奈、ダメダメだもの」


「ママ!?」


ベッドから飛び起きると、ママが扉付近で凄くニヤニヤしてる。

あれ、いじわるなこと考えてる目だ……


「ママが唯奈に足りないものを教えてあげるわ♪」


「ひ、必要ない!自分で考えるから──」



「ズバリ、女子力ね!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る