8. 幼馴染だっていつでも仲良しなわけじゃない

「なぁ、唯奈……」


「……」


「はぁ……」


唯奈の機嫌がとてもとても悪い。


いつも通り、放課後は下駄箱の前で待っててくれたし、嫌われたとかそういうのじゃないと思うけど……口を全く聞いてくれないのだ。


こういう時って、大抵俺が無意識に何かやらかしてる時なんだけど……さっぱり思い当たらん。


ひとまずあれを試してみるか……


「この先にあるコンビニに寄ろうと思うんだけど、何か欲しいのあるか?奢るぞ?」


「……」(ぷい)


馬鹿な!?一騎当千百戦錬磨の最強単語『奢る』でもどうにもならないのか!?


はぁ……唯奈と話せないだけで、こんなに退屈なんだな……


「っ!?」


その瞬間、唯奈は凄いスピードで振り返りマジマジと俺を見てくる。

え?何?俺また悪いことしちゃった……?


そしてたっぷり10秒ほどしたところで……


「コンビニ、行く。」


「え?」


「コンビニ行くから、奢って。

いちばん高いアイスにする」


突然の復活。何故かさっきまでとは打って変わって上機嫌に見える。


まぁ理由がなんであれ、唯奈といつも通り帰れるならそれ以上に嬉しいことなんてないよな!






……ハーゲン○ッツ、こんなに高いとは思ってなかったなぁ……

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