7. 幼馴染は最高の相棒

「やばい、どうしよう」


昼休みになってからもう10分。

いつもなら唯奈と2人楽しくお昼ご飯を食べているところなのに唯奈がこない。


そして……


「ねーいいでしょ樹崎くん!

今日はもう花包さんこないかもしれないし!」


唯奈が来ない間に、別の女子が俺と一緒にご飯を食べようと話をもちかけてきていた。


「いや、もうちょっと待ってみないと──」


「そんなことしてたらお昼休み終わっちゃうよ!」


うーん困った。この子すっごいグイグイくる。

唯奈と真逆のタイプだし、どう対応したらわかんないな……


早く唯奈来ないかな……


「ナル、遅れたっ……」


なんて思ってたら救いの女神降臨。

やっぱり幼馴染は以心伝心、望めばいつでも駆けつけてくれる最高の相棒だったんだな!


……あれ?なんか唯奈、俺を見た瞬間にちょっと雰囲気が変わったような……?


唯奈は無言で俺の席の隣まで移動すると、目の前の女子に指さしてこういった。


「この女、誰?」


あれー?なんか、夫が浮気していることを知って激怒した妻みたいなこと言ってるぞー?


あ、でもこれはこれで俺たちは夫婦ってことになるわけだから……


「ニヤニヤしてないで、さっさと答える」


あ、すみません。まじ申し訳ないと思ってるのでそんなに睨まないで?


「この人はただの……えぇっと……人、そう!人です!」


「私、クラスメイトなのにただの人扱い!?

美陽!石居美陽いしいみようだから!ちゃんと覚えて!」


石居……?どこかで聞いたような……あ。


「学級委員長の方……?」


「そう!そうそうそう!覚えててくれたんだ!」


あーやめてやめて。手を握ってぶんぶんしないで?

いたい、それいたいから──痛っ!?


「ちょ!?唯奈!?」


何故か唯奈から教科書の角で頭殴られたんだけど!?

あれ、軽くやっただけでも痛いよね。


「そんなことより、早くご飯食べようよ!」


「あなたは早く帰って……」


結局、石居さんは俺たちと一緒にご飯を食べて満足そうに自分の席に戻っていった。


その間もずっと唯奈は不機嫌だったけど……今日は悪いことでもあったのかな?

悪いこと……不運……つまり、今日はじゃんけん勝てるのでは!?


※無事、今日も負けました。

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