Crossing of darkness

第6話魔族大陸の集結と驚愕の再会

ベルモンドの告白を聞いた後、龍河は彼からさらに重要な情報を得た。それは、近々開かれる魔王候補たちの話し合い、通称「魔王会議」が行われるということだった。会議は魔族大陸の中央に位置する巨大な要塞で開催され、そこには魔王候補の上位者たちが一堂に会するという。

「魔王会議……そんなものがあるのか？」龍河はその話に驚きを隠せなかった。

「ああ、魔王候補の間での定期的な話し合いだ。そこでは、候補たちの序列が見直されることもある。現在、序列第一位から第五位までの者たちが揃っているはずだ。だが、龍河……お前が目覚めた今、彼らは驚くことだろう。」ベルモンドは苦笑いを浮かべながら答えた。

「俺が……か？」龍河は自分の存在がどれほどの影響を与えるかを実感しつつも、まだ信じられない様子だった。

「そうだ。お前はかつての序列第一位だ。お前が現れたことで、他の候補たちも緊張を隠せないだろう。」

龍河はその言葉に重みを感じ、これから向かう会議が一筋縄ではいかないことを理解した。だが、彼は自身の力を取り戻し、この世界での使命を果たすためにも、この会議に参加することを決意した。

「わかった、ベルモンド。俺も行こう。その会議で、全てを確かめる。」龍河は力強く答えた。

数日後、龍河、ベルモンド、シーラ、バトラーの四人は魔族大陸の中央にある巨大な要塞へと到着した。その要塞は、まるで空に突き刺さるかのようにそびえ立ち、重厚な石造りの城壁が何重にも巡らされていた。周囲には異様な静けさが漂い、内部には数多くの魔王候補たちが集まっていた。

要塞の内部に足を踏み入れると、厳かな空気が彼らを包み込んだ。巨大なホールの中央には、円形の石造りのテーブルが設置されており、その周りに魔王候補たちがすでに集結していた。彼らはそれぞれ異なる種族でありながら、いずれも強大な力を持つ者たちであることは一目でわかった。

龍河たちがホールに入った瞬間、全員の視線が一斉に彼らに向けられた。特に龍河に対する視線には驚きと緊張が混ざっており、その場の空気が一気に張り詰めた。

「……龍河、お前が目覚めたのか」一人の男が、驚愕と共に声を上げた。その男は、現在の序列第一位である「リシャール」と呼ばれる魔王候補だった。彼は鋭い眼差しを龍河に向け、立ち上がった。

リシャールは背が高く、銀髪が背中まで流れており、その姿はまるで冷徹な剣士のようだった。彼の目には冷酷さと威圧感が漂い、今までの地位を守り抜いてきた者の風格が感じられる。

「お前が目覚めるとは……正直、予想外だったな。だが、目覚めた今となっては、再びこの場でお前と顔を合わせることになるとはな。」リシャールの声には皮肉と期待が混じっていた。

他の魔王候補たちも、龍河に対する驚きと興味を隠さなかった。第二位の「エルヴィス」、第三位の「セリーヌ」、第四位の「バルガス」、第五位の「ルシア」――いずれも強力な力を持つ者たちであり、それぞれが龍河を観察するように視線を送っていた。

「ベルモンド、お前も無事で何よりだ。しかし、龍河が来るとはな……これは一体どういうことだ？」エルヴィスが問いかけると、ベルモンドは短く答えた。

「龍河が目覚めたんだ。俺も詳しいことはまだ知らないが、この場に現れたのは、我々にとって重要な意味を持つだろう。」

「確かに。彼がかつての序列第一位であったことは、我々全員が知っている。だが、今の彼がどれほどの力を持っているか、それが問題よ。」セリーヌが冷静に言葉を続けた。

龍河はその言葉を聞きながら、静かに自分の中で何かを確かめるように考えていた。彼はまだ完全に力を取り戻したわけではないが、この場で何かを示さなければならないと感じていた。

「俺は……まだ完全には戻っていない。しかし、俺にはやるべきことがある。それを果たすために、ここに来た。」龍河は静かながらも力強く宣言した。

その言葉に、リシャールをはじめとする魔王候補たちは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐにそれぞれの感情を隠すように表情を引き締めた。

「では、そのやるべきことが何か、見せてもらおうか、龍河。」リシャールは挑発的な笑みを浮かべた。「我々はお前がどれだけの力を持っているのか、それを見極める必要がある。」

その瞬間、ホール全体に緊張が走り、次の瞬間に何が起こるのかを待つ空気が充満した。龍河は再び仲間たちと共に立ち上がり、魔王候補たちと対峙する準備を整えた。

この会議がただの話し合いで終わるわけがない。龍河は自分が再びこの場に戻ってきた理由を、そして自らの力を証明する時が来たことを感じ取っていた。