第3話百年の眠りから…
「そなたも噂で聞いたと思うが、ソルト村と言う小さな集落がある。その村から少し離れた森の中に洞窟があると聞く、村の者は入った事が無い洞窟だが、その洞窟に数週間前に一組の冒険者パーティーが入り、黒い霧が現れ一人の冒険者が戻って来ないとギルドのマスターに相談が持ち掛けたのだ。
そして、その行方不明の冒険者を捜す為他のパーティーに依頼を受け洞窟へ向かったのだが、まだ戻って居ないと知らせがあり私の方へギルドからの相談があり勇者であるそちに依頼をしたと言う訳だが……これは普通の出来事では無いと思うのだ。」
「…普通では無い?」
「そうだ、その洞窟から逃げた冒険者の話しによると黒い霧のようなモノが洞窟の奥から現れ襲い掛かり剣で霧を斬ったそうだが穂先がボロボロに崩れたそうだ普通の剣では黒い霧を斬るのは難しいだろう…それで勇者であるそなたの持っ剣であれば黒い霧が斬れると思ったのだ」
「……」
勇者アランは王様の話しを聞き自分の側に置いてある剣に目を向けた。
勇者の持っ剣は特別で、勇者の力を剣に宿しどんな魔物でも斬る事ができ魔王さえも倒すと聞く。
だがそれは実体があると言う事で実体の無いモノを勇者が持っ剣で斬る事が出来るのかアランにはわからずにいた。
「……御言葉を御返すようですが、今のわたくしに黒い霧がこの剣で斬る事が出来るのか不明で御座います」
「…ふむ、そうか……」
勇者アランの返答に考え込む王様は一人の男を思い出していた。
「勇者アランよ、ソルト村から反対側になると思うが運が良ければ現れる一軒家が建っているそうだ。
その家に住む魔法使いと言う者がいると聞く、その魔法使いだが百年眠り丁度今がその百年の眠りから醒める…勇者アランよ魔法使いと供に黒い霧を退治してくれぬか?」
「……」
勇者アランは少し戸惑いが合った。
(百年の眠りから醒めると聞く魔法使いは人間では無いのか?果たしてその者と旅をして黒い霧を消す事が出来るのだろうか…)と顔に出さず心の中で悩み続けた。
「勇者アランよ!」
はっと我に返り王様の顔を見上げた。
「勇者アラン、わたくしは魔法使いと供に黒い霧を滅し行方不明の冒険者を捜し出す事をこの場で誓います」
勇者アランは後には退けないと思い覚悟を決め、魔法使いの住む家を探し黒い霧を退治する事を誓った。
「おおっ、やってくれるか勇者アランよ!魔法使いと供に健闘を祈る」
「…仰せのままに……」
勇者アランは王様に礼をした後ルイ王子が声を掛けた
「…アラン様御気をつけて……」
頬を赤く染め心配をする王子の顔を見上げた勇者アランは「有り難う御座いますルイ王子…」と声を掛け大広間を後にした。
勇者アランは魔法使いが住む一軒家を探す旅が始まった。
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