10話.[話をしておこう]

「七菜、少しいいか?」

「うん、いいよ」


 廊下に出たら暖かくてずっとここにいたいぐらいだった。

 なんで4月なのにまだひんやりとするんだろうね、寧ろ屋内の方がひんやりするんだろうね。


「それでどうしたの? 一緒のクラスになれたからわざわざ廊下に出なくてもいいと思うけど」

「今度泊まりに行ってもいいか? 若菜も高校生になったわけだしもっと一緒にいたくてさ」

「いいよ、今日でもいいよ?」

「今度でいい、いきなりは迷惑をかけるだろうからな」

「大丈夫だよ、私と若菜しかいないんだから」


 一応両親は毎日帰ってくるけど夜中とかだし気にする必要はない。

 お泊り会とか楽しくていいだろう。

 それに千晶なんかなにも気にしないで毎日泊まろうとするぐらいだよ?

 やっぱり栞理はいい子だな。


「敷布団もあるから大丈夫だよ、なんなら私のベッドか若菜のベッドに寝てもいいし」

「いや、そのときは床でいい、敷布団を使わせてもらうよ」

「うん、分かった!」


 よし、そういうことなら若菜にも話をしておこう。

 いまさら教室から出てきた千晶には当日に言えばいいだろう。

 どうせ毎日来るからね、そのときでも遅くはないはずだ。


「なにふたりでこそこそしてるの」

「してないよ、今日はすぐに付いてこなかったね」

「珍しいよな、いつもの千晶なら七菜に引っ付いているのに」

「お腹空いたんだよ、今日朝ご飯を食べられなくて」

「「夜ふかしするからだ」」

「うわーん……」


 無視だ無視、早起きできないのが悪いんだし。

 しかもその理由が遅くまで動画投稿サイトを見ていたってことだし?

 気にする必要はないよねと内で呟いて片付けたのだった。

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30作品目 Nora @rianora_

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