09話.[ごめんなさいっ]
「疲れたわ……」
「お、おづかれ~」
帰ってきた若菜を抱きしめる。
結局、浮くかもしれないからと卒業式には行かなかったが途中から行けばよかったと考えて泣いていたから似たようなものだと考えてもらいたい。
「ちょ、濡れるじゃない……」
「だっでぇ……」
「はぁ、七菜はたまに姉らしくないときがあるわね」
立派な姉をやれているなんて考えてないよ。
私はただ自分のできる範囲のことをやっているというだけで。
「でも早いわね、4月からは私ももう高校生だなんて」
「毎日一緒に行こうねっ」
「そうね、帰りはどうなるかは分からないけど」
そういえばなんだかんだで最近は千晶と毎日帰っていたな。
私が不安にならないように一緒にいてくれたということなのだろうか。
それか単純にいたかっただけ? いや、不安にならないようにいてくれたと考えておこう。
「複雑だわ、妹が受験勉強を頑張っているときにいちゃいちゃしていたんだからね」
「え? 受験勉強を頑張っているときはしていなかった……と思いますが?」
「いや、千晶は七菜にずっと引っ付いていたじゃない、実は少しむかついていたわ」
「ご、ごめんなさいっ」
「あははっ、冗談よ」
いや絶対に冗談じゃないぞこれっ。
……今度からはこそこそと仲良くすることにしよう。
ま、その今度は遠いんだからいま気にする必要はないけどさ。
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