第20話 4日先の予定。
ブルア王達との話がまとまった所でジルツァークがやってくる。
「ただいま〜。何の話をしていたの?」
ジルツァークが興味深そうに聞いてくる。
皆は女神と言う事でジルツァークに親しげに話したりしない。
だがジェイドは4年間の日々で話し相手はジルツァークだけだったので親し気に話す。
「ジル、何故ブルアの前王は情報を秘匿したまま亡くなったんだ?」
直球で質問をぶつける。
「そこら辺、よくわかんないの。
死んじゃったのは夜中だからもしかしたらモビトゥーイが何かしたのかもしれない」
ジルツァークが申し訳なさそうに答える。
「そっちか…」
「それに昔の話だけどあの日も朝になったら三国全部がお互いを疑っていて大変だったんだ。それで仲直りの為にも聖剣、聖鎧、宝珠を交換させたんだよ」
先ほど話題に出た事もジルツァークは関与していないことが判明する。
「そうか…」
「ごめんね」
「いや。夜はモビトゥーイの時間だからな。わからない事が多くても仕方ない。
それよりジルは何処に行っていた?」
今度はジェイドがジルツァークの行動を聞く。
本来なら恐れ多くて聞けないのだがジェイドはお構いなしに聞くのでブルア王達は驚いた目でジェイドを見てしまう。
「ジェイド達はこの先の予定決まったの?」
「何?今日は城で世話になって明日朝ここを出る。そして宝珠の威力を見る為にもミリオンと穴に向かってポイズン・ウォールを発動して貰う。それからグリアで聖剣の回収とレドアで聖鎧の回収だ」
「ん〜。成る程ね〜。予定変えてよ」
顎に人差し指を当てたジルツァークがジェイドに予定の変更を提案する。
「何?」
「グリアに行く前に防人の街と穴の間にある監視塔、正式名称だと聖女の監視塔に行って。今しか会えない人がジェイドに会って謝りたいって言ってるんだよね」
聞きなれない単語が出てきた。
監視塔と言うのは何なのかを聞きたいし、そもそも今しか会えない人と言うのも気になる。
「何?何だそれは?」
「いいから、行けばわかるよ」
そう言ってジルツァークはいつもの笑顔に戻るとふわふわと浮かんでしまう。
「ジェイド、ジルツァーク様は僕達に不利な事は言わないだろう?」
「従った方がいいと思うの」
「…そうだな。わかったよジル」
「聞き入れてくれてありがとう。じゃあ4日後くらいに着くって言うから頑張って歩いてね!」
そう言ってからジルツァークが消える。
「ブルアから穴まで4日?」とセレストが聞き返し、「嘘だろ?」とジェイドが言う。
そして青い顔のミリオンが「走らなきゃダメなんじゃない?」と言って3人で顔を見合わせる。
「ジル!おい!!聞こえないのか!?ジル!!」
ジェイドがジルツァークを呼び戻そうとしたがジルツァークが戻ってくる事はなかった。
走る事が決定した事で3人の顔が曇る。
「ま…まあ折角の休みだ。
明日に備えてくれ!
私は公務に戻る。
全身鎧の手配と火事の後始末もあるからな」
そう言うとブルア王と王妃がさっさと退散していった。
「くそっ!全身鎧の事もあるから出発できない!」
「…4日で踏破…」
「日の出と同時に出ないと…」
ジェイド達はこうなったらと意地になってのんびりと1日を過ごす。
リアンの計らいで常に誰かしらがジェイドの側にいる状況を作り出す。
ジェイドは困った顔をしつつも嬉しそうにしていた。
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