第6話夕食

9時には帰れる。


 メールが来た。

それしかない素っ気ない内容だけど、安心した。

自分の仕事が終わり、帰ってきてから夕食の準備をする。

なるべく、迷惑をかけないようにしないと。

お風呂の使い方、

キッチンの使い方、

洗濯をした後の干し場所、

などなど。

基本的な事だけど、

日々に必要なこと。


 あんまり・・・聞くと、怒られそうだ。


 時計を見ると、9時。

いつ帰って来ても大丈夫なのように準備した。


 10時。


 遅いな。


 携帯を見るが、連絡はなかった。

そう言えば、

とつい色んなことを考えてしまう。

この人はなんで、何も聞かないんだろう。

この人はなんで、何で感情がないんだろう。

この人はなんで、

なんで、

ていつも聞くんだろう。

でも、

助かった。

小切手をすぐに口座に振り込んだ後、

すぐ電話があって、

泣きながら、

喜んでいた。


いいの。

それなら。

私1人を売って、

皆が助かるなら。

それでいい。

私がやった事を知ればきっと心配して怒ってくる。

絶対に言わない、と心に誓った。


「おい」

声が聞こえ、ゆっくりと体を起こす。

テーブルで寝ていたみたいだ。

「・・・おかえり・・・」

目を擦る。

「なんで待ってた?食べてればよかったのに」

めんどくさそうに、言われた。

「待てるかな、て。一緒に食べたかったから。何時?」

「11時」

目が合う。

震える瞳に目が離せなかった。

なんだろう?

戸惑い?

に近い感情だった。

「思ったりよ遅かったね」

脱いだ上着を受け取けとる。

「なんで待ってた?」

繰り返し聞かれた。

「なんで?一緒に食べた方が美味しいでしょ?それとも、食べてきた?」

「いや」

「良かった。温めるね」

「なんで・・・」

「よく、なんで?て聞くね」

おかしくて笑ってしまった。

「私はちゃんと答えてるよ。一緒に食べた方が美味しいから待ってた。湯船はるね」

「いや、俺は、シャワーだけでいい」

「駄目だよ。疲れるてる時は、湯船に浸かった方がいいよ。待ってて」

申し訳ないが、有無を言わはずセットてきた。

「勝手に決めるな」

でも、何故か朝のような威圧はなかった。

夕食は、全部食べてくれた。

何も言わない。

美味しいとか、

不味いとか。

でも、ご飯のおかわりはしてくれたのが、ほっとした。

「一緒に入るか」

「どこに?」

食器を食洗機に入れながら答えた。

「風呂だろ。璃空が勝手にいれたんだから責任取れよ。俺は、1人じゃ入らないから」

「・・・え・・・?」

驚いたが、すぐに冷静になった。


 そうだ、啓は女に興味無いんだ・・・


 なんでこうなってるんだ??

 

湯船に一緒に入り、後ろに啓。

腰に腕が回され・・・

たまに、吐く息が耳元で聞こえ、緊張する。


も・・・無理・・・。


 ジャバと立ち上がった。

「どうした」

「どう・・・した・・・て・・・」

ぐらりと身体がよろめいた。

「・・・のぼせた・・・」

「おい!」

そこまでしか記憶がなかった。


 

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