第7話 平和の滝 松本と二宮の場合

「この平和の滝、北海道のゼロ見てくれてる人もなんか心霊体験したみたいで、この階段で声かけられたみたいですよ」

松本は二宮と階段を降りながら言った

「う~ん、なんかな?滝の音?に混じってななんか声みたいの聞こえるねん」

二宮が率直な意見をのべる

「なんか、あれですよね?先が暗くて水の音がするのは普通に怖いですよね?」

「そうやな」

そう二人で話ながら階段を下りる

階段は踊り場を跨ぎさらに下へ

「~~~~~」

「!?」

二宮が振り返る

「どうしました?」

「いや、いま耳元で誰かに話しかけられた・・・」

「ホントですか!?」

「あぁ、おまえなんか話しかけてた?」

「いいえ、なにも話してませんよ?」

・・・

しばしの沈黙

「松本、ここ、ほんまにヤバイところちゃうか?」

「ヤバそうですか?」

「なんか、進むほどに気持ち悪いって感じなんよな」

「北海道でも指折りスポットらしいですからね・・・」

「なんも、北海道来てまで~ほんとは観光とかめっちゃしたいわ~」

「大丈夫です!!自由日はもうけておりますがゆえに!!」

「まるで修学旅行やな!!」

「シシシシシ」

さっきまでのシリアスな空気は一度抜け

ふたたび歩をすすめる

その間じょじょに水の音は大きくなり

滝は全貌を見せた

「ここですね・・・」

松本は二宮に話しかける

「そうやな・・・」

「なんか思ってたより個人まりとしてますね?」

「個人まりっておまえ!」

二宮は松本のワードのチョイスについ笑ってしまう

「いや、思ったより小さいなって思いまして」

「まぁ、そうやな・・・でもあれやな?こういうところが心霊スポットとして有名になるのが逆に怖いな・・・」

そう言いながら水の流れに目をむけていると

「!?」

二宮は妙な感覚を感じる

「なんや?」

「どうしました?」

「人おらん?あそこ?」

二宮は滝から流れ川になるその始まりに指をさす

「え?どこです??」

松本はカメラを回しながらその場所を映すがそこには誰もいない

「あそこや、あそこ!」

二宮にははっきりと見える人の姿しかし

松本にはまったく通じない

「どこです??ホント!?」

「あそこや!今滝の方見て人が立っとんねん!」

「ダメです、全然わかりません・・・二宮さん!?汗すごいですよ!!」

二宮の額には見てわかるほどの汗が浮かぶ

「マジか・・・これはあかん!!」

二宮は恐怖を感じる

特に襲ってくるでもない

動いているわけでもない

しかし、そのいで立ちは不可解そのものだった

「松本!!行くぞ!!」

「待ってください!一枚写真を・・・」

「そんなの言ってる場合ちゃう!!ここはホンマにやばい!!」

「わ、わかりました・・・行きましょう」

松本も二宮のあまりの姿にさっきまでのテンションとは違う

真面目な姿勢でそこから立ち去ることに賛成した

そのとき

トゥトゥトトトゥトルゥゥン♪

トゥトゥトトトゥトルゥゥン♪

突如なるスマホ

着信画面には

『こーへいくん』の文字

階段を上がりながらその着信音にビックリしつつ

着信に松本は応答する

「こーへい君?どうしました??」

「松本さんあの!!・・・・で・・・・・・が・・・・・」

「こーへい君??」

「ま・・・・さん・・・・・・し・・・・・」

こーへいからの着信は途切れ途切れで聞き取れない

すると

「ジジジ・・・・ジーーーーーーー」

ノイズが混じる

「松本どうした??」

二宮が様子を聞く

「いや、あのこーへい君からの電話なんですけどなんか変なんです」

「変て?」

「ノイズで聞こえなくて・・・」

そう伝えると二宮にスマホを渡して確認を仰ぐ

「ジジジーーーーーーーーー」

「ほんまやな・・・」

そういうのと同時に

「ジジ・・て・・・ジジジ・・・よ・・・」

「?なんか聞こえるで?」

そう松本に伝える

「こーへい君です!!」

「いや、なんかちゃうような・・・・」

感じる違和感さっきの人影と同じ

言い難い恐怖

「ちょ・・・・・ま・・・・・・よ・・・・・」

耳を澄ます二宮すると

「ちょっと・・・・まて・・・・よ・・・・・」

青ざめる

「これはあかん!!早くいくぞ!!」

松本に告げる

「まってください!!」

松本も二宮の異様な様子にただ走り出す

階段を駆け上がり最初の駐車場にもどる

そこにはすでに戻っていたかおりんとこーへいの姿が

慌てて駆け上がってくる松本、二宮の姿に

二人は駆け寄ってきた

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