第6話 平和の滝 かおりんとこーへいの場合
ざっざっざっ
歩をすすめる、かおりんとこーへい
「あれですね?なんか滝に行く道よりはまだって感じですね?」
かおりんがこーへいに問いかける
「う~ん、でもこの場所自体が気味悪いというか、源氏の滝に近い感じがする」
こーへいはこの場所の不穏な気配を感じ口にする
「たしかに、この場所っていうと気味悪い空気はしますね」
かおりんも気味悪さは感じているようだ
すると
「あれ?なんか・・・あれ?」
こーへいが立ち止まり言葉を出す
「どうしました?」
かおりんは振り返りこーへいに聞く
「いや、あのトイレの左側の入り口?なんか人が・・・」
「え!?ホントですか!?」
かおりんが振り返り確認するが
「?・・・いない気がしますよ?」
ハテナマークを浮かべたかおりんと何かの存在が気になるこーへい・・・
立ち止まっていたが
「気のせいかな?いこうか」
こーへいの言葉でまた歩き出す
「でも、せっかくの北海道いろんなとこ行きたいですね!」
かおりんが話題をふる
「そうだね、観光もしたいね」
違う地に降り立った喜びを二人で話すうちに目の前にはトイレの入り口があった
どちらも中からは
ジッジーーー蛍光灯の音が聞こえる
こーへいは入り口を見つめていた
(ここに人が・・・)
さっき見たものが錯覚とは思い辛かった
なぜなら、こーへいには人が招いてる姿がはっきり見えたからだ・・・
(学生服をきた男性・・・あまりにはっきりすぎて言えなかった・・・)
その思いが入り口付近にこーへいをとどめる理由になっていた。
心配がよぎるが
かおりんの近くにいる
なにかあったら対応できると言い聞かせて探索を始める
中に入るのは躊躇われたが勇気をだし中を撮影する
カメラにレポートを残す
「じゃ、なか調べようか?」
「そうですね!個室は・・・」
そういうと一個、一個調べる
「ここは・・・」
カチャン
キー
「特にかわったとこはないですね、次は・・・」
トントン拍子で調べる
「特に変わったことはないですね~」
かおりんが言う
「そうだね、うーん、じゃいちおう周りを見てみようか?」
こーへいはそういうとかおりんを背に出口に向かう
"コンコンコン"
「え!?」
かおりんは音がした方
つまり個室の方を振り替える
「・・・」
だがそこにはなにもなく静まり返っていた
「こーへい君!今ききま・・・」
正面にむき直すとそこにはこーへいの姿はなかった
「こーへい君!こーへい君!!」
かおりんはトイレを出て周りを見渡す
しかし、こーへいらしき人影はなく
「こーへい君!!どこ!?」
さっきまで目の前にいた人がいなくなるというあまりに唐突な出来事にパニックになる
「え!え!?こーへい君!?」
トイレの周りを回ってみたがいない
「電話!!」
スマホで連絡をとろうとするが
「あれ?なんで??え!?」
スマホは待ち受け画面からフリーズし、まったく反応しない
「そんな・・・どうしよう・・・」
困り果て恐怖とパニックの渦中にいると背後に人の気配を感じた
「こーへい君!!」
振り返りみるとそこには学生服姿の男性が立っていた
「え?こーへい君・・・誰です?」
明らかに違う風貌にパニックより恐怖が込み上げる
するとその学生服の男性が視線を上げる
だが、それよりさきにかおりんは走り出した
(ダメ、ダメだよ、あれはホントに!!)
体が反応した
あれは見てはいけないものだと
無我夢中
まさにその言葉の通り
現実離れした出来事に恐怖が体を支配する
それから逃れるように走った
・・・
気がつくとそこは一番最初の場所
そこに一人
「はぁはぁはぁ・・・」
呼吸が乱れている
走ったことでなのか
恐怖で乱れたのか
それはどちらでもよかった
早く人に会いたかった
「かおりん!!」
すこしはなれたところから聞きなれた声
「こーへい君!!」
知った顔を見てついに緊張の糸が切れる
「こーへい君!!どこいってたの!!」
目からは涙がこぼれつい強い口調できりだす
「かおりんこそ、どこいたの!?」
こーへいからも似たような反応が返ってくる
「私はトイレのところいたよ!音して振り返ったらこーへい君いなくて!!」
「音?なんの音??」
「トイレをノックしたような音!!」
かおりんは必死に伝える
しかし
「音なんて・・・それにいなくなったのはかおりんだろ?話しかけても返ってこないから振り返ったらいなくなってて・・・」
困惑を隠せなかった
こーへいは今話通り
振り返るとかおりんがいなくトイレの周りを探してもいなかったので戻ったのではと思いここに来たのだ
「そんな・・・だって、こーへい君がいなくなってそれで怖くなって、そしたら学生服の男の人がいて・・・」
「学生服!?」
こーへいが声をあげる
「え?こーへい君・・・もしかして・・・」
「うん、僕も見ました。その人・・・二人に連絡しましょ!!」
学生服の男にかおりんの失踪・・・あまりに不可解なことがおこりすぎ手に負えないと判断し、二人に連絡することにした
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