主人公は物理では最強で、世界チャンピョンになるほどの実力者。
そんな彼女もネット関連はまったくのド素人。顔も名前も隠して見えないところから一方的に集団で攻撃してくる連中に対して憤懣やるかたなく反論を試みるも、所詮は蟷螂の斧。むしろ相手を増長させるばかり。
普通だったら心が折れてしまうはずなのに、主人公は屈するどころか怒髪天を衝いて立ち向かう。ただ、如何せん頭が悪すぎた。
そこで彼女は情強メイドの力を借り、あの手この手で反撃開始。
作者さんが実際にネットで誰かを叩きまくった経験があるんじゃないかってくらいがリアルな描写で、アンチコメントに踊らされる主人公の様子が面白いです。
一気読みしてしまいました。続きが楽しみです。
炎城寺紅子、資産家の家に生まれ、10代でありながら格闘技の世界王者となり、親譲りの美貌を持つ。富・名声・力、この世のほぼすべてを手に入れていた紅子だが、完璧に見える彼女にも一つだけ足りないものがあった。それは……致命的に頭が悪かったのだ。
そんな彼女がインターネット、そしてSNSの存在に気付いてしまったから、さあ大変。意気揚々とTwitterを始めれば即炎上して即凍結、匿名掲示板に自分のスレッドを見つけてはそこの住人と大喧嘩。現実では最強の紅子だが直接攻撃が通らないインターネットではキャンキャン吠えることしかできない無力な少女にすぎない。果たして彼女はこのネットの荒波を超えることができるのか!?
武力100知力18ぐらいのお嬢様と彼女に仕えるメイドが二人三脚でインターネットに潜む悪意と戦う日々を描く本作品。匿名の人物たちによって紅子は毎回酷い目にあうのだが、紅子は紅子で酷いことばかり言ってるし、紅子にネットバトルのイロハを教えるメイドのイルカもとても性格が悪く、登場人物がほぼ全員悪人なため、誰が痛い目を見ても気にせず笑える愉快な内容になっております。
(「インターネットの向こう側」4選/文=柿崎 憲)