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「それで、なんであんなことしたの?」と真っ白なパーカーを両手ではたいて、土の汚れを落としながら、草子は言った。(草子の顔はまだ真っ赤だった。今の草子の言葉には若干の照れ隠しの意味もあった)

「あんなことって?」言っている意味がわかんないよ、と言った表情をして女の子は言う。

「私を突然、驚かしたこと。こんな森の中であんなことをされたら、誰だって腰を抜かすよ。私じゃなくてもね」強がって草子は言った。(弱虫と言われたことを実は草子は気にしていた)

「ああ、あれね。あれはね……。そうすれば君が元気になるかなって思って」とにっこりと笑って女の子は言った。

「元気に? 私が?」草子は言う

「そう。元気になって、少しは明るくなるかなって。そう思ってわって大声をだして君を驚かすことにしたんだよ?」なにか文句ある? と言いたげな表情で女の子は言った。

「君に驚かされなくても、私はもともと元気だよ」まあ、記憶はないけどね、と心の中でつぶやきながら、呆れた顔をして草子は言う。

 それから草子はちょっと気になって、自分の頭を髪の毛の上から触ってみた。もしかしたら自分が記憶喪失になったのは、なにかの拍子で森の中で強く頭を打ったからではないのか? と思ったからだった。

 でも確認してみると、どうやら頭に怪我とかしているわけではないようだった。(それから草子は自分の長いツインテールの髪を撫でるように触った。その艶やかな感触を感じて、草子は二匹の子供の蛇を連想する)草子は安心したのだけど、ではなぜ私は記憶喪失なのだろう? と言う草子の疑問は残ったままになってしまった。

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