18
「君は弱虫だね。それに、素直じゃないし、臆病者だね」
そう言って、女の子は情けなく腰を抜かしている草子を見て、本当に幸せそうな顔でにっこりと笑った。
その女の子の笑顔を見て、草子は、……私はあなたの笑顔を今も確か覚えている。……そして、きっと一生忘れることはないはずだと思う。
草子はまた、その女の子の『どこか見覚えのある顔』に、視線が釘付けになった。
「はい。どうぞ。弱虫さん」
そう言って女の子はその細くて白い小さな手を草子に向けて差し出した。どうやら草子が立ち上がることを女の子は手伝ってくれるみたいだった。
「……ありがとう」
そう言って草子はその女の子の差し出してくれた手を、自分の泥らだけの手で握った。(一瞬草子はためらったのだけど、女の子の目は気にしなくていいよ、と草子に言っていた)
……女の子の手はひんやりとしていて、……すごく冷たかった。(まるで幽霊のようだと思った)
草子は女の子の手をかりて地面の上に立ち上がった。(でも、まだ草子の細い両足はまるで生まれたての子馬のようにぶるぶると震えたままだった。そんな草子のことを見て、女の子はまた腹を抱えて笑った。草子はまた怒って、その顔を真っ赤にした)
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