第2話 悲歌

 八月九日 一日目


 翌朝になると、体調は元に戻っていたが、昨日の不快な臭いと小さな女の子の声を思い出し鳥肌をたてた。

 耳の奥でなにか音が聞こえたが、何の音かは分からなかった。昨日の恐怖のせいで少し調子がおかしいのだろうと言い聞かせてあまり気にしないことにした。

 タオは布団から起き上がると、シャワーで汗を洗い落として、鯨女神社に出かけてみることにした。昨日の出来事がなんだったのか、異変を探すためだった。


 だが鯨女神社はいつも通りの穏やかな場所だった。風でざわめく木々の音も暖かな木漏れ日も、古めかしい建物もいつもと様子が変わらなかったが、一つだけ気にかかることがあった。

(匂いがしない……)

 いつもの甘美な香りが今日はしなかった。昨日の不快な香りも立ち消えていた。タオは全身の感覚を澄まして、神様の気配を感じ取ろうとした。

(ここにはいない……どうして? 神様が鯨女神社にいないなんて……。なんだか、神浦の海にいつもの存在を感じる)

 そう考えていると、後ろから「タオ」と呼ぶ声が聞こえた。振り返ると祖母のキミヨが立っていた。

「こんなところでなにをしてるんだ? タオがここにいるなんて珍しいな」

 キミヨは物珍しそうにタオのことを見ていた。

 タオは昨日のことがバレてはいけないと思うと内心慌ててはいたが平常心を取り繕って、

「いや、なんか、太一くんっておばあちゃんにインタビューした子、わたしの友達なんだけど、その話し聞いたら懐かしくなっちゃって。それで来たんだ」

 するとキミヨは嬉しそうに、

「おお、そうか。タオがまた鯨女神社に興味を持ってくれて嬉しいよ。それにしても今の若いもんにしては珍しいな、オチヨ様の言い伝えのことを聞きたいだなんて」

「この島のことを動画に撮って、インターネットに流してるのよ。どうしておばあちゃんがここに?」

 キミヨは、不安そうな顔になって、

「あたしは寝てて聞いてないんだが、ヨウコさんが昨日の夜不気味な声を聞いた、と今朝言ってたから念のため様子を見に来たんだ。なにか、悲しいような、不気味な声が空から聞こえたと。昔、あたしが若い時に祟りが起きたときもそんな声だった」

 タオは自分たち以外の人間もあの声を聞いたのだと思った。

「……わたしも昨日、その不気味な声聞いたんだけど、おばあちゃんが若いころに聞いた声と同じだとしたらその声はなんなの?」

「鯨様の鳴き声だ」

「鯨様?」

 いつにも増して真剣な祖母の顔を食い入るようにみつめた。

「そうだ、オチヨ様は父親に殺され海に捨てられた。それから三日後に、島に流れ着いてきた鯨の体内からオチヨ様の死体が出てきて、祟りはそこから始まったといわれている。その鯨様の鳴き声だ」

 その話は小さいころから、何度も祖母から聞かされていた。少女の遺体を鯨が呑み込んでいたと思うと不気味ではある。

 昨夜の声を思い出すと、また全身に鳥肌がたった。鯨様、という言葉は鯨女神社にまつわる言い伝えを聞く上で耳にしたことはあったが、その詳細までは知らなかった。

「タオ、神様の香りはまだ匂うか?」

 祖母に真剣な眼差しで射貫くように尋ねられ、

「うん、相変わらず甘くていい匂いがするよ」

 と思わずウソをついた。祟りのことを知られたら島中に混乱が起きるような気がした。

「そうか。タオが神様の匂いを嗅げるんならまだ大丈夫だ。本殿の鍵も壊されてねぇみたいだし、オチヨ様の祟りじゃねぇ……でもな、もし磯の腐ったような臭いがしたら気を付けるんだぞ」

「磯の腐ったような臭い?」

「そうだ。もしそんな臭いがしたら、それはいつもの穏やかなオチヨ様じゃねぇ。祟り神になったオチヨ様の臭いだ。その臭いがしたら祟りの始まりだ」

 タオは昨夜の腐敗臭を思い出して、思わずゾッとしたが、悟られないように微笑んで、

「……うん、わかった。その臭いがしたら気を付けるね」

 と返事をした。

(でも、昨日、太一くんが櫛を戻してたから大丈夫だよね)

 と自分に言い聞かせながら。

 

 家に戻ると、母親のヨウコが朝食の準備をしていた。食卓の席に着いていると、ラインの通知が鳴った。ヒカルからだった。

 ――今日も補習だよー。せっかくの夏休みなのにー。

 気怠そうなヒカルのラインで、少し気がまぎれた。

 ――普段勉強してないからでしょ?w 今から勉強しておかないと行きたい大学に行けないよ?

 ――正論すぎるwww でもそうだよね、今から勉強して良太くんと同じ大学行きたいなぁ。

 ――そうだよ! がんばれ!

 ――ありがとう。昨日の肝試しで聞いた変な鳴き声なんだったんだろうね。ホント怖かったけど、でも良太くん、堂々としててカッコよかったー。そういえば、今日の朝から耳鳴り? っていうのかな、耳の奥でなんかずっと聞こえるんだけどタオは?

 ――耳鳴り? うん、わたしも今朝からずっと変な感じ。雑音っていうか。

 ――タオも? なんだろうね。あっ、そろそろ授業始まるからまた後でねー。

 そこでヒカルとのやり取りは終わった。

 朝食が出来たとヨウコに呼ばれたので、台所へ行って運ぶのを手伝った。食卓に料理が並ぶとタオとヨウコとキミヨの三人で、イスに腰かけた。テレビでは連日話題になっている児童虐待のニュースが流れている。

「また虐待のニュース。子供たちが殺される話しっていうのは何度聞いても辛いものがあるわ」

 母親のヨウコはそう呟くと、ハムチーズを載せた食パンにかじりついた。

「お母さんって、この島に来る前は町の児童養護施設で働いてたんでしょう?」

 とタオがヨウコに話題をふった。

「そうね。親の虐待が原因で施設に来る子供たちもたくさん見たわ」

「ひどいね、なんで子供殴れたりするんだろう」

「虐待を行う親も、子供のころに酷い虐待にあってることが多いのよ。自分も暴力で育てられたから、いざ子供を教育する立場になると自分も暴力に走っちゃうのね。その中には本当は殴りたくないのに、って悩んでる人たちも多いの」

 すると、祖母のキミヨが口をはさんで、

「昔は、子育てはその地域に住んでいる大人たち全員でやったもんだ。今の人たちはそれぞれで孤立しながら子育てをしてるから、誰にも相談できずに悩むんだろうなぁ、かわいそうに」

 タオはニュースから目を離さず、「……こんな事件、なくなるといいのにね」といって温かなコーヒーを口に含んだ。

 虐待のニュースが終わると、テレビには上之濱大島の公民館広場が映し出された。

「上之濱大島では、今年も伝統芸能である追善踊りが行われます。踊りが行われる一週間前の昨日、島の人々で、ここ上之濱大島公民館広場にステージが建てられました。追善踊りは五百年前から踊り継がれる上之濱大島の伝統芸能で、今年も島の子供たちと成人男性のみで披露される予定です。この日は屋台や夜には花火大会も催され、毎年多くの観光客で賑わいます」

 上之濱大島で開催される年一度の大きな祭りであり、県の無形文化財にも登録される追善踊りの昨年の映像が流れた。

「もうこんな季節になったのねぇ。今年も早いわ」

 とヨウコがいうと、タオが、

「あ、そうだ、今日もお昼から追善踊りの練習に行ってくるからね」

「なぁに、今年も子供たちに踊りを教えに行くの?」

「そう。小学生の子供たちと約束しちゃってて」

「タオは子供たちに人気だもんねぇ。夜はなるべく早く帰ってきなさいよ」

「うん、そうするつもり。遅くなりそうだったら連絡するね」


 島の公民館は安室と神浦の中間に位置する。

 坂の勾配が厳しいので、タオは一年前に買ったばかりのバイクで公民館を目指した。道の両脇は常に木々で囲まれていた。途中、前平地区にある牧場を通りかかったが、いつもいる牧牛が今日は姿を見せなかった。

 公民館ではすでに二十人ほどの小学生が追善踊りの練習に精を出していた。六人ほどの高齢の男性が指導していた。熱波と湿度で、館内はひどい暑さだった。

 追善踊りは天正二年(一五七四年)、本島の城が他藩から攻め入れられ落城した際、ここ上之濱大島に逃れてきた一族が、戦によって亡くなった人間を弔うために踊り伝えたといわれている。花杖かじょうと呼ばれる子供の身長と同じくらいの棒を持ち、三度笠と着物を身に着け、死者を弔う歌を歌いながら踊る。県の無形文化財に指定されていた。


 祭りの当日には毎年多くの観光客が押し寄せる。男しか踊ることが許されないが、島の文化を伝える意味で小学生の女子も練習に参加をしていた。タオも小学校時代に覚えさせられたことがあるが、大人たちの指導が厳しかったのを今でも覚えていた。

 練習の間、タオは側で見守りながら子供一人一人の様子を観察していた。一時間の練習の後、二十分の休憩に入ると、子供たちは練習の緊張感を和ませるために、各々飲み物を手にとってはタオの元へと集まる、タオはたちまち子供たちに囲まれてしまった。

 一人一人に合わせたアドバイスを優しく伝える、この時笑顔を忘れないことをいつも心がけていた。上手に踊りができなくて気落ちしている子供を励ましたりもした。

 だが、子供たちは練習の話しはそっちのけで、学校であった出来事や、流行っている遊び、夏休みをどう過ごしたかを嬉しそうにタオに話した。タオは一人一人の話しを笑顔で、目線を合わせて聞き、相槌を打った。タオの周りには笑い声が溢れた。

 ふと、顔にアザが出来ている子供がいることに気が付いた。

「あなた、顔どうしたの? アザができてるじゃない?」

「これ?」

 丸く太っていて、ひときわ体の大きい子供だった。

「同じクラスのやつに殴られたんだ」

「どうして殴られたの? ケンカでもしたの?」

「うん、そいついつも薄汚れた格好してるから、ちょっとふざけてやろうと思ってからかったんだ。そしたらそいつ、急に近寄ってきてぶん殴ってきやがった」

「……そう。人を殴ることもいけないけど、からかうのもよくないわね。それで? 仲直りはできたの?」

「仲直りなんかするもんか! そいつ、普段学校にも来ないし、友達もいないからちょっと相手にしてやろうと思ったんだ。それに、そいつ母親から殴られてるみたいで、傷がいっぱいあるやつなんだよ。そんな気味悪い奴、友達なんかにいらねぇや」

 思い出して興奮した口調の男の子をタオは宥めた。

「……そんなこと言ったらダメ。母親に殴られてるだなんてどうしてわかるのよ」

「大人たちがそんな噂話してるのを聞いたんだ。今年の二月に本島から引っ越してきて、神浦港のアパートに住んでるんだけど、そいつの部屋から母親の怒鳴り声が毎日聞こえるんだって」

「……そう。だとしたら可哀そうな子じゃない。あなただけでも仲良くしてあげて」

「やだよ! あんなやつ大っ嫌いだ!」

 その言葉にタオは悲しい気持ちになった。どんな言葉をかければいいのか考えながら見つめていると、男の子はたじたじになった。

「……でも羽刺のお姉ちゃんがそういうなら、仲良くするよ」

 嬉しくなってタオが微笑むと、男の子は安心したようだった。もし、その男の子に会う時があれば友達になってみようと思い、

「その子の名前はなんていうの?」と尋ねると、

諫早諾人いさはやだくとっていう名前だ。本島の名前だよ」

 練習再開の号令があって、子供たちはタオから離れていった。

 子供たちの練習の様子を眺めながら、児童虐待のニュースを思い出していた。どこか遠い出来事のように思っていたのに、話しが本当なら、こんなに長閑な島で児童虐待の被害にあっている子供がいることに心が痛んだ。

 練習と休憩を何度か繰り返し、夜になって、稽古の終わりが告げられた。

 帰り支度を終えた子供たちがまたタオの元に集まるので、相手をしていたが、大人たちにどやされて少しずつ帰っていった。結局タオは最後まで残ってしまった。

 出ようとしたところで指導員の一人に話しかけられた。

「タオちゃん知ってるか? 恵比寿屋さんの牧場の牛が殺された話し。ほら、前平地区に大きな牧場があるだろ、そこの牛だって」

「殺されたってなんですか? どういうこと?」

「殺されたというか、なにか大きな動物に食われたような跡があるんだって。それで今日、踊りの指導どころじゃなくて恵比寿屋さん来てねぇのさ」

「食われたような跡ってなんですか? 野良犬かなにか?」

「そんなんじゃねぇって話だよ。一口で、牛の身体の半分が食われてるんだって」

 想像するだけで気持ちが悪くなる。眉間にしわが寄っているのが自分でもわかった。

「ごめんな、タオちゃん。本当はこんな話し若い娘っ子に話すことじゃねぇのかもしれないけど。一応帰り道には用心してな」

 すると、違う男性が話しに入り込んだ。

「また怖い話をして。さっきも子供たちに聞かせて怖がらせてたんだよ。一口で牛を食うなんて、怪獣でもあるまいし」

「いや、だって……恵比寿屋さんが言うもんだから……ホントだったら大変だろう」

「からかわれてるんだろ。タオちゃん、気をつけて帰ってね」

 男の人は何人かの大人たちに笑われていた。

 軽く挨拶をしてその場を後にしたが、ここに来るときに通った牧場に牛が一頭もいないことを思い出した。


 外はすっかり陽が落ち、昼間のぼうっとするような暑さも幾分かやわらいだ。今朝からの耳鳴りのような音がまだ続いていた。

(なんなんだろう、これ。ずっと鳴りやまない)

 不思議に思いながらもスロットルをひねり、坂道をいくつも越えた。

 公民館を出て五分ほどたったところに、それまで森林に挟まれた道だったのが、左側に神浦の港が見渡せる少し開けたカーブの道があった。タオは思わず左側の景色に気をとられたが、前方の草藪の陰から物音がして、なにかが道路に飛び出してきた。

 ヘッドライトの丸い明かりに小さい人間が映った。裸の小さな女の子が光をさえぎるように、手を顔の前あたりに掲げた。

(女の子だ! ぶつかる!)

 タオは急ブレーキをかけハンドルを左に切った。タイヤが滑り転倒すると、左肩をアスファルトにこすらせながら草藪の側で止まった。痛みで動けなかったが、小さな女の子がいたことを思い出すと、

「大丈夫?」

 と振り返りながら尋ねた。だが、後ろには草藪の影が風に揺れているばかりで、どこにも人影が見当たらなかった。

(あれ、今確かに……)

 左肩を抑えながら立ち上がり、しばらく呆然と後ろを見ていたが、やはり人影はなかった。

(さっきの女の子……裸だったような……気のせいだったのかな、いくら夏だからって裸の女の子がいるわけないか)

 カーブのおかげで減速していたので大事にはいたらなかったが、左肩が熱を帯びていた。すると、空から降り注ぐように、物悲しい音が鳴り響いた。錆びた弦楽器のような、かすれた、含みをもたせた音が、長く、細く、響いた。

(鯨様の鳴き声だ)

 とタオは祖母の言葉を思い出していた。草木や地面が共鳴しているかのような音に囲まれているような感覚に陥った。

 そして、神浦の海から、大きな黒い影が飛び上がるのを目にした。それは月を隠すほどだった。真っ逆さまに海面へと落ちると爆発音が轟いた。大きな波が神浦の町へと延びていくのがここからでもわかった。幸いにも民家には届かなかったが、その異様な光景にタオは目を疑った。

 足が震えていた。不気味な感覚から早く逃げだしたくて、バイクに乗って家へと急いだ。

(なにあれ、怖い、大きな黒い影だった)

 途中、何件か民家を通るが、家から出て不安気な顔を浮かべて空をみている人間を何人かみた。

(みんなこの音が聞こえてるんだ。あの姿も見えているのかな)

 焦燥感がわきたって、スロットルを回す強さが増した。走っている間にも、数分の間隔をあけて、爆発音が轟いていた。

 自分の家に着くと父親の勇一郎とヨウコとキミヨが外に出て神浦方面を眺めていた。祖母のキミヨは手を合わせながらなにか唱えていたが、その口ぶりからお経を唱えているのだとわかった。

 キミヨがタオの姿に気が付くと、

「タオ、無事帰ったか。お前にもこの鳴き声が聞こえるか」

 と尋ねた。タオは三人のもとに寄った。

「……うん。聞こえるよ。神浦の公民館から帰ってくる途中から聞こえてた」

「あたしだけじゃない。勇一郎にもヨウコさんにも聞こえてる」

 すると勇一郎が、

「この爆発音はなんなんだ。まるで大砲の音じゃないか」

 と腕組みをしながらいった。漁師特有の屈強な体つきをしているが、声から不安が伝わってくる。

「恐いわねぇ、こんな音聞いたことないわ。この、空から鳴り響くような不気味な音もなんなのかしら。昨夜から聞こえるけど」

 ヨウコも不安を隠せないようだった。キミヨが、

「あたしは聞いたことがある。昔、神社の櫛が盗まれたとき、同じような爆発音が起きたんだ。この音は鯨様の鳴き声に違いない。これはオチヨ様が怒ってらっしゃる証拠だ」

 と手を合わせ、目を閉じながら答えた。

「やめてくださいよ。また祟りなんて言うんでしょう?」

「そうだ。最近の者は目に見えないものを信じなくなっちまった。なにか、わたしたち島民が怒らせるようなことをしたに違いない」

 すると勇一郎が、

「……一応、櫛があるか確かめてくるよ。母さんも、お前たちももう家の中に入りなさい。危ないことがないとも限らないからな」

 勇一郎は本殿の鍵を取りに家へと入っていった。ヨウコが、早く家に戻りましょう、と言ってタオの背中を押して家へと促した。

 家に戻りながら、本当に本殿に櫛があるかどうか気が気でならなかった。

(どうしよう……本当に太一くん、櫛戻したのかな……もし戻ってなかったら)

 食卓の席に着きながら、勇一郎の帰りを三人は待った。タオは鼓動が早くなっているのを感じた。

 十分ほどたって、勇一郎が戻ってきた。

「母さん、櫛はあったよ。どうやら、オチヨ様の祟りではないようだ」

 キミヨは目を丸くして、

「櫛があったって? じゃあ、この鳴き声といい、爆発音といい、これはいったいなんなんだい」

「わからないが、明日になればなにか市から情報が来るかもしれない。今日はとにかく寝よう。俺も明日が早い」

 タオはヨウコに促されてお風呂に入ることにした。湯船につかっている間も、爆発音が轟いてきた。張られたお湯の表面が揺れた。

(櫛があったとしたら、この音はいったいなんなの? もしかしてわたしたちは本当にオチヨ様を怒らせてしまったんじゃ……だとしたらどうしたら祟りは終わるの)

 不安と焦燥感で胸が潰されそうになりながら、両ひざの間に顔を埋めて深く後悔した。


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