一流の文章&内容に三流以下の主人公

---181話まで読んで書いています。---
話自体とても面白く、また、文体は硬めですが文章力も高く程よく改行され誤字脱字がほぼほぼないためとても読みやすいです。ここまでの物はカクヨムでもなかなか見かけないかもしれません。
帝国にさらわれた大量の民間人を助け出す。という目標も、日本に帰る。という大きな柱に+して、話の主軸として作品を面白くしています。
自衛隊転移物で重要な補給問題も、世界設定やストーリーと上手く絡められていて今後の展開が楽しみになります。
ただ、とにかく艦長が無能すぎます。平時ではまあまともな指揮官なのかもしれないのですけれど、とにかく現状認識がお粗末で凝り固まった思考から抜け出せないせいで周りに迷惑をかける典型的なタイプ。そのおかげでさらわれた民間人が異世界に奴隷として大量にばらまかれてしまうので、最初の無能ムーブはストーリー上結構重要な気はします。とはいえその後もあまりにも酷すぎるので、これは早々に退場させて後を継ぐ者の引き立て役にするのかな。と思っていたのですが、181話現在生き長らえてます。
無能な働き者が自ら問題を大きくしてイージス艦の馬鹿げた火力で乗り越えていくという、もしやこれは作風文体は真面目でも実はコメディなのでは?と、なんか良くわからないけど面白くてツボに入ってしまってひたすら読み続けてしまいます。
まあ有能過ぎると最適解ばかりであっさり解決しちゃいますからね。話を面白くするには無能な方が良いですよね。さらわれた民間人たちは可哀想ですが。

ただ、気になった点を一つ。
艦長は、「子供は守られるべき。大人が導くべき。」と言いながら、一人救出され特異な環境に置かれた子供と真摯に向き合うこともせず、その子が努力してもその気持ち、何故そう考えるに至ったのか軽視して頭ごなしに否定します。また外部協力者の子供(現地では立派な成人扱い)に対しても、対象が心底嫌がっている愛称をひたすら呼び続ける様な最低な人間です。あ、よく考えたら平時でもまともじゃないですねこれ。今後の展開で人間として成長するかもしれませんが、組織のTOPに立ち、それを諫める人間もいない50代の男性にそれが期待できるかというと…。
残念ながらこれが許せない方にはちょっと厳しいかもしれません。

↑これが許容出来るなら、軒並み高水準の素晴らしい作品です。
私も続きを楽しみにこれからまた読みはじめます。
本当にオススメなので是非読んでいただきたいです。