第36話 幽霊屋敷

商業ギルドは、冒険者ギルドの差し向かいにある。


入ると 右側に受付のカウンターが並び


左側は、喫茶店の雰囲気だ。


そこで商談をするのだろう。個室になっている。


中の声は聞こえてこない。


魔法障壁があるのだ。


クラン時眠で '時眠り商会'と登録した。


登録料は 銀貨1枚。10万円。



金貨1枚を最低預かり金として、口座を作れるので、


45枚預けた。四千五百万円だ。2枚残しておく



不動産を扱う業者を紹介してもらう。


商業地区の農地との境にある金狐族の商会だ。


店員を クリムに載せて 飛び回り、


面白い物件を 見つけた。


北門のそばの 大きな廃墟だ。


幽霊が出るので 格安だ。


金貨20枚。二千万円!


口座から、引き落とした。


早速探検だ❗️



3mくらいの 高い壁に囲まれて 蔦のびっしり絡んでる洋館だ。


店員に由来を聞く。



10年前 ヨシダブルグが、山賊(リザードマン)の襲撃を受けた。


その時重症を負いながらも撃退した ヨシダブルグの英雄 


ドワーフの'スミフ子爵'の館なのだそうだ。



スミフは 当時 準男爵で、北の工房群のギルド長をしていた。


北の山に採掘に行っている時に 


リザードマンの斥候に屋敷が襲われて、


妻が重症を負ってしまう。


スミフは、妻を冷凍睡眠して地下に安置した。


辺境伯に 山賊討伐軍を進言して、スミフ自身は


私財すべてを使い 北門を要塞に作り直した。


討伐の逆襲に堪える為だ。


辺境伯から兵を借りたり、傭兵を雇ったり


屋敷の向こうの農地を練兵場にして、鍛えた。


だから屋敷の庭は広いのだ。


要塞が完成して、兵の練度、Lvが上がった頃


ゴブリン、オーク、オーガ、魔狼、トリケラトプスなどを 引き連れた


山賊。リザードマンが 押し寄せて来た。



ゴブリン二千が 屍を築きながら 堀を埋め


そのまま屍を積み重ねて、壁に積み上げる


それを踏み台にして魔狼( Lv10くらい)50が


壁を乗り越えて来る。


支配されてるので、恐怖がないのだ。


もちろん、金狐族の火魔法で焼き払ったり


爆薬で、吹っ飛ばしたりしてるが何ヶ所も


取りつかれているので、ある1ヶ所から


ゴブリンの屍を踏み台にして、


オークが50くらい乗り越えて来る。  


しかし、大きな身体が15m落ちるのだ。


着地して すぐには動けない。


たちまち、狩られてしまう。


するとその死体目がけて飛んで来る。


クッションにしてるのだ。


もう乱戦だ。



その頃、スミフは 1人息子のゼアフと


部下のドワーフ20を率いて、


この時のために用意していたトンネルを通り


山賊の後方で指揮している


リザードマンの背後から奇襲を掛けた。


トンネル直径は小さいので、


ドワーフやゴブリンでないと通れない。


武器も背中の斧とボーガン、ツルハシ


弩は、力の強いドワーフでないと


セット出来ないくらい強力で、ボルトも魔鋼製。


短いので射程は短いが、マナ錬成してるので、魔防壁も貫く。


リザードマンの硬い鱗や強い筋肉を突き破る。


スミフとゼアフの斧はアダマンタイト製。硬くて重い。


リザードガードを次々と倒してリザードロードと対峙する。


母親を死の淵に送られたゼアフは、


バサークしてリザードガードを


蹴散らしていたが、


リザードロードはLvが高くて、


致命傷を負いそうになる。


それを庇ってスミフが代わりに重症を負ってしまう。


ゼアフは、バサークが進み突撃して相打ちで


リザードロードを、倒した。


族長が倒されると山賊達は支配が解けて混乱


戸惑っているところを殲滅。


リザードマンの残りは生き残りのガードの指揮で、逃げていった。


ドワーフは足が遅いので、追いつけない。


虫の息のゼアフと 5人の重症ドワーフを


屋敷に運び、冷凍睡眠装置に入れる。


それから3日間 スミフは指揮を取ったが


傷が悪化して 寝込んでしまい


部下が 冷凍睡眠装置に入れたのだ。


外部には、死んだ事になっている。



辺境伯ケンツが この功績を 国王に上申すると 


子爵の位を授爵した。


後継が いないので、子爵位は  


副工房ギルド長が受け継いでいる。


部下達は、解散して、それぞれ工房を独立して 運営している。


屋敷は そのまま放置されている。



店員に聞いた話では、


妻が殺されたスミフが 山賊の襲撃を防ぎ、息子と共に相打ちになり 城塞都市を救って、しばらくすると 幽霊が出ると 誰も近寄らなくなった。と言うのだ。


だから、こんなに安いのだ。



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