それぞれの空
28話 本部召集
後日、
当然、運転手はみんなお馴染みの
車内では、
そんな中、人が良い
ようやく
「ねぇ、何で
「理由は様々だろうけど、
「ふーん」
くろは、さして興味が無さそうに返事をする。
「ねぇ、霊脈ってなに?」
今度は、
「アンタはどうせ説明聞いても、分かんないんだから静かにしてなさい」
くろは、騒々しい車内、延々と続く山道に苛ついていたこともあり、ついつい口調がキツくなる。
「くろちゃんこそ、興味が無いんなら聞かなきゃいいのに」
「ほら、お前ら、じゃれてないで、さっさと行くぞ」
「はーい!」
車から降りた一行の前には、立ち並んだ木々の中に、およそ似つかわしくない高層ビルが建っていた。周囲は数メートルはある巨大な鋼鉄のフェンスに囲まれている。
フェンスには僅かな隙間しかなく、中の様子は窺い知れない。正面にゲートが設けられていて、
「お待ちしておりました。どうぞ、お通り下さい」
自衛隊らしき1人が手を挙げると、ゲートが右にスライドして、
「案外、簡単に通れるのね」
「ああ、ここの周囲には結界が張り巡らされてい る。結界とコンピューターを連動させていて、結界通過者の特定が出来る」
「へぇ…便利な世の中になったものね」
「くろちゃんって、なんだかおばあちゃんみたい」
「
「くろちゃんやめてよ~。これ以上、私の髪をイジめないで」
ミズキは、
「お前ら、バカやってないでさっさと入るぞ」
高層ビルの入り口は、重厚な鉄の扉が取り付けられていた。扉が開くと、細長い通路の先にエレベーターが設けられている。通路内は、無機質で白一色の壁に囲まれていた。
「よく来たね諸君。元気そうでなによりだ」
部屋に入ると、九尾討伐で陣頭指揮を執っていた
ライオンの
そんな
「よぉ、
「この人、A樹海で集まった時に前で説明してた人じゃない?
「くろちゃんって私と一緒に行動しているのに、どうして私よりいろいろと詳しいの?」
「アンタが気絶している間に聞き出したのよ。頭が足りないアンタの代わりに、私が脳ミソの役割をしてあげてるんだから。感謝しなさいよね」
「くろちゃんってば、また私をバカにして!」
「君は確か
「いえいえ。私なんて全然…」
普段、他人に褒められることのない
「
「別に、変な気は遣わなくていいから」
「その間、私たちはどうすればいいの?」
「そうだね、せっかくだから、もう1人の御三家にも手伝って貰おうか」
そう言い終えると、
…数分後、
「こちらは
「
しかし…それ以上、彼が言葉を発することはなかった。
「何よこのもやし」
くろが嫌悪感むき出しで悪態をつく。
「 まぁまぁくろちゃん。私は
いたたまれない空気を察して、
「
「ええっ…」
「
「本部も人手不足なんだ、お願いできないかな。自衛隊の一般職員では、
「わかり…ました。
10階へと案内された
先へ進むと、長い通路にいくつもの扉があり、その中の測定室と書かれた一室に
部屋の中には、部屋一面に何かの機械が敷き詰められていた。促されるまま、
「もっと…リラックス…して」
そう言うと、
「なにこれ?頭に変な感じがする」
「少しの…間だから…我慢して」
不安を覚える
ものの数分で測定は終り、勢いよく
「
「ちょっとアンタなんなの。ここの職員でもないのに、なんでそんなに偉そうなのよ!」
その相手はどうやら女の子のようで、髪はピンク色でツインテール、水色のワンピースをはためかせながら
「お前こそ誰だよ。うっせぇな、俺は品の無い女がキライなんだよ」
「誰が品が無いですって!」
「こらこら、お二人さん落ち着いて」
「
「アンタが私の特等席に座ってるのが、いけないんでしょ?」
「特等席ならちゃんと名前でも書いとけよ。ピンク頭の席ってさ」
「ちょっとアンタ、私のアイデンティティーをバカにしないでよ!」
2人のケンカは更にヒートアップしていく。
そんな時、警報のような音と共にアナウンスが鳴り響く。
「警告です。侵入者あり。侵入者あり。結界にて個体情報識別。複数名の
「侵入地点は本部から3km。北、西、南の3方向から此方へと向かっています」
「
「報酬さえくれれば、別に構わないぜ」
「じゅうせいかい、ってなんですか?」
「簡単に説明すると、国家転覆を
「とりあえず、敵の補足情報をゴーストハンターに送ったから持ち場に着くまで確認してくれ」
「
そんな中、
「あの…私はお留守番ですか?」
「
「私、戦えますよ。狐さんの時より危ないなんてことはないんでしょ?」
「確かに九尾より手強いなんてことはないだろうけど…」
躊躇っている
「僕からも…頼みます。責任を持って護ります…から。どうしても、
「仕方ない、君らがそこまで言うなら任せるよ。
「では各自、検討を祈る」
「はい!」
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