27話 戦々恐々
「あれ…私はいったい…。ここは、ミズキくんのお
「大切な髪を傷付けられて、怒ったとこまでは覚えてるんだけど…」
『まったく、あれから大変だったんだから』
『くろちゃん、無事だったんだね。他のみんなは?』
『一応、命に別状はないとだけ言っとくわ。あの後、
『あれ…ミズキくんのお父さんって、あの場所にいたっけ?』
『後で聞いた話なんだけど、ここのお寺から走ってきたみたいよ。イカれてるわよ…まったく』
『起きたばっかで悪いけど、誰か探しに行きましょう。私もまいから離れられないから、詳しい現状は知らないの』
『そうだね。お腹も空いたし、すぐに準備するね』
長い廊下を抜けると、懐かしい日常を彷彿とさせる匂いが、
匂いにつられ歩みを進めると、台所に出た。そこには、手慣れた様子で包丁を扱っている
「
彼は、
「お料理中に、ごめんなさい。シンヤくんたちは何処にいますか?」
「…
そんな
「目を覚ましてから部屋から出ようとしないんですって。酷く怯えているみたいで、人が来るのも嫌がってる」
それに合わせて、
「腹減ったー」
重たい空気を、気だるそうな声が打ち破る。
首もとを掻きながら、寝癖がボサボサに跳ねている
「良かった。
「
「うん…」
「
「そんなに寝てたんだ…お腹が空いて当然だよ」
「話は飯を食ってからにしようぜ」
一通り食べ終えると
「
「無事なんだけど…」
「そうか…。とりあえず
「そうだね。私もこの後、様子を見てくる」
その後、
「ミズキくん。シンヤくんって、なんたら機関にとって重要人物なんだよね?よく家に帰るのが認められたね」
「
「俺も半分騙すような形で、
「ええっ!
「それに関しては謝る。総本山に連れて来た後、機関に確認したら監視だけでいいってさ。所在さえ分かっていれば、特に拘束する必要もないそうだ」
「そんなぁ…それなら私たち、無理に戦いに参加する必要なかったじゃない」
「いや、そもそも
「それは、そうなんだけど…」
「ただ、
「ただ、本音をいうと
その瞬間、
「ええっ!ミズキくんって、そっち系の人だったの?」
「はっ、頭、
「顔は…?男の子なのは気にしないの」
「…っち」
「とにかくだ。皆、無事だったんだからそれでいいだろ」
「それはそうかもしれないけど…。私たち、危うく死にかけたんだよ」
「そうだな。誰が死んでいてもおかしくなかった。実際、あそこにいた殆どの参加者は、九尾や悪霊に殺されたからな」
「…えっ、死人がでたの?」
「あんたって、ほんとにデリカシー無いわね」
くろが
「これに懲りたら、
「…えっ?それってどういう…」
「さっきも言ったが、
「………」
「結局、九尾の件は、本当にシンヤのお父さんが犯人だったの?」
「そうだな。9割9分、
「
「今の
「この“ゴーストハンター”のアプリでも力の
そう言って、
「9割9分ってことは、100%じゃないってこと?」
「そうだな。
「掃除…これくらいでいいよね?とりあえず
「…まい」
くろも
皆が寝静まった後、
「シンヤくん…」
…返事は無かった。
「…入るね」
それだけ声を掛け、
「シンヤくん。…私ねシンヤくんに救われたの。くろちゃんの件だけじゃないよ」
「寂しかった…家でも学校でも1人だった…。だからシンヤくんと仲良くなれて救われた」
「…ごめんね。うまく言えないや」
「……だから、今度は私が救う番。シンヤくんが脅えずに済む世界にするから…待っててね!」
それから、
日にちは進み、夏休みも終盤へと差し掛かる。
夏休みの宿題に、 慌てて取り組んでいた
「
「うん……全然ダメ。毎日、家に行ってるんだけど、インターホンを鳴らすだけで、怯えるの…」
「そうか…、俺も少なからず責任は感じている。今度、
「メンタルケア?」
「
「それと、少し言いづらいんだけど、
「どうして、私も呼ばれたの?」
「
「夏休みの宿題が終わってないけど、私も協力した方がいいよね。私からも、機関にシンヤくんを治せるか掛け合ってみる」
「わかった。また日時が決まったら連絡する」
「うん。お願いね」
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