『怒りの落下星』

やましん(テンパー)

『怒りの落下星』


 落下星は、意に反して、とある惑星に、まさに、落下してしまった。


 本来ならば、受け取り人がいるはずなのに、そこはひたすら広がる広野で、調子が狂ったのである。


 大気があると思ったが、ない。


 

落下星


『あちゃあー。まずい。しくじった。まずいなあ、地面にめりこんじゃった。しかし、受け取り人はだれだ。えと、銀河系地球、やましんさん。座標は、まさに、ここだ。おかしい。あってるなあ。よいしょ。やれやれ。お〰️〰️〰️〰️

い。やましんすわーん。ハロー。ハロー。……あ、反応なし。くっそう。なんだよな。いたずらかいなあ。またく。』



 あたりは、ただ、静寂が支配する、虚無の空間である。


 『はあああ。あてどころに尋ねなし。特急便で来たのになあ。発送から、まだ、五千年しか経ってない。おかしいなあ。』


 

 そもそも、地球からの注文なんて、はじめてだったのである。


『代金引き換えだから。持って帰るか。あやあ。ここに、何かある。これは、なんと、炭素の塊だ。こりゃ、高額品だ。おー、これが、代金とみた。なるほど、これが、この惑星の、流儀か。よしよし。置いてかえればよいのだな。じゃあ、炭素いただきます。』


 落下星は、宇宙配達人である。


 炭素は、やましんさんのなれのはて。


 地球は、なんだか、わからないが、壊滅したのである。


 やましんさんは、うっかり、宇宙ネットに入り込み、アマステラ電気の万能ラジオを注文していたのである。


 しかし、やましんさんは、ついに、宇宙に旅立った。



 ひとりぼっちになったラジオが、なり始めたのである。


      🌍



 『地球人類は、一部をのぞき、絶滅しました。ご用のかたは、土星第2衛星エンケラドス地下シェルターまでお知らせください。』  


 落下星さんは、聞かなかったのだ。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『怒りの落下星』 やましん(テンパー) @yamashin-2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る