第59話 シロヤマの趣味Ⅱ

「き、きみ……その画像を一体どこで……」

「シロヤマをゆするものが欲しんだけど……って言ったら、セバスチャンがくれた」

 セバスチャンッ……?!いつの間に俺の部屋にっ……!

「しかもぬいぐるみのウサギが着てる服って、おまえの手作りなんだって?」

 それもセバスチャンから聞いたんだけど。

 平静を装う細谷に尋ねられ、まさかの趣味がバレたシロヤマは(マジカァァァ!!)と恥ずかしさのあまり心の中で絶叫した。

「他にも何枚かもらったんだけど……おまえ、どんな趣味してんの?」

「やめてっ……!そんな目で俺を見ないで!」

 ドン引きした顔をする細谷に、居た堪れなくなったシロヤマは両手で顔を覆い隠す。

「じゃあ、もったいぶってないで、本当のこと言えよ」

「細谷くんさぁ……時々、俺に対してものすっごいブラックになるよね」

 とは言え、この世で流行ってるSNSは冥界の人間も簡単に見ることが出来るしな。(冥界専用のネット回線もあるけど)

 しばし考えた末、ふぅ……と小さく溜息ためいきを吐いたシロヤマは観念したように応じた。

「あの時、ここできみの矢に射貫かれた筈の俺が、なんで今もこうして立っていられるのか。それは……」

 シロヤマがすっと、着ているスーツのジャケットの懐に手をやる。

 目つきが鋭くなった細谷が着目する。

 徐に懐から取り出したあるものを目にした途端、細谷は唖然とした。

「スマホ……?」

「まりんちゃんのスマホだよ。最初に会った時、取り上げたまま返すの忘れてたみたいで……

 結果、このスマホが俺の生命いのちを救ったんだよ」

 シロヤマがかかげるまりんのスマホには、細谷が打ち放った矢が刺さった跡が残っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る