第55話 決断の時Ⅰ
「えっ……なに、これ」
右手親指で画面をスクロールしながら、呆気にとられたまりんは素っ気なく呟くと困惑した。
「カシンにセバスチャン。それに……
同じく呆気に取られた細谷も真顔で素っ気なく感想を述べる。
「けれどこの展開……これが本当だとしたら……」
細谷と一緒に、とうとう最後まで読み終えたまりんは無言でスマホをシロヤマに返却する。
「で、どうだった?読み終えた感想は」
素っ気ない笑みを浮かべたシロヤマが何気なく感想を促す。すると……
「マジかっ……!セバスチャンがそんなに偉い
驚きのあまり、興奮したまりんが大声を出した。
「信じられねェ……俺達は今まで、そんなスゲー
ショックを受けた細谷はそう、絞り出すように言った。
「私の立場、そしてその強さをご理解いただき、恐悦至極に存じます」
意外なところから浮上した真実を知り、驚愕する二人の反応を見て、にんまりしたセバスチャンは恭しく謝辞を述べた。
「そもそも、その作品がこの
セバスチャンの真の正体を知り、まりんと細谷が驚愕する一方で、青江神社の最高神とともに少し離れたところから冷静に見守る美女が呆れたように呟いた。
因みにだが......上司に当たる死神総裁カシンからの指令が下れば即、実行に移す。それが第一秘書の、主な役目である。セバスチャンは、カシンに次ぐ高位に当たる役職に就いているのだ。
腹心の部下であるセバスチャンが赤園まりんに降伏した。
それすなわち、長年
ガクトに続きセバスチャンまでも……
老剣士とともに宙に佇みながら、地上を見下ろすカシンは失望した。
先手を打ったセバスチャンが、催眠状態に陥ったまりんに手を下す瞬間から、カシンと老剣士は一時休戦していた。
そして、空中に佇む二人はそこから、事の成り行きを見守っていたのである。
「もう、この辺にしねェか?」
眼下を見下ろしたまま、静かに口を開いた老剣士はカシンにお伺いを立てる。
「セバスチャンから解放され、リミッター解除した嬢ちゃんは半端なく強いぞ。
しかも、お前さんの右腕とするセバスチャンはこちら側についた。もはや勝ち目はない」
老剣士は辛辣そのものだった。
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