第24話 Are you ready?

 どんなにやる気があっても、歯切れのいい言葉を並べても、相手の実力ちからの方が細谷じぶんよりも上回っている。

 それを重々じゅうじゅう承知で攻防戦に挑むのだから、それなりの危険リスクがあって当然だ。

「見せてやるよ。俺の、本気ってやつを」

 シロヤマの大鎌と自分の槍を交差させたまま、威圧的な雰囲気を漂わせ、細谷は静かに言った。

 辺りに漂う空気の流れが変わった時、シロヤマははっとした。

 背丈を越す槍や魔法の杖、剣や刀などを携えた男女七人の人間が、精悍な細谷の周りに集結している。

 口を真一文字に結んだ魔女や魔法使い、和と洋の雰囲気漂う剣豪の面々を、細谷が己の魔力で創り出したのだ。それも一瞬で。

 それを悟ったシロヤマは、目を見張った。細谷が槍を具現化にし、勝負に挑んで来た時からその正体に気付いていたが、これほどまでに出来る男だったとは微塵みじんも思っていなかったのだ。

 ガクトくんの挑発に乗り、本気を出した細谷くん……彼の本気がどこまで通用するのか、見物ですね。

 薄ら笑いを浮かべたセバスチャンはそう、楽しむかのように心の中で呟いた。


 絶体絶命のピンチに、颯爽とまりんの面前に現れた神様。

 容姿端麗の彼が放つ、神々こうごうしいオーラと、頼もしくも安心感のある空気が辺りを満たす。

 そんな空気の流れが変わったのは、突然のことだった。

 息詰まるほどのプレッシャーが、青ざめた表情で身を竦めたまりんを襲う。

「始まったようだな」

 ぴりぴりとした空気の流れを読み、真顔を浮かべる神様が、声を低くして呟く。

 神様が呟いたのを機に、冷静沈着な雰囲気が辺りを満たした。

「そなたの出番だ」

「えっ?」

 面と向かって、唐突に出番と告げられたまりんは、きょとんとした。

「この先で、たった今、戦闘が勃発したらしい。

 おおかた、死神のシロヤマと健悟が対戦しているのだろう。

 今のところは健悟が有利に思えるが、実力が段違いのシロヤマの方が強い。

 健悟がシロヤマに破れるのも、時間の問題だ」

 まさに神業と言えよう。それを実際に間の辺りにし、驚愕したまりんは流石、神様……と感心した。が、

 イヤッ!感心してる場合じゃないから!

 すぐに気付き、まりんは内心、自分で自分自身につっこんだ。

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