第16話 形勢逆転
「そこまで言うなら……」
細谷は半信半疑で言うと、まりんを抱えたまま後退りした。
「同性に抱きつくなど、変わったご趣味をお持ちですね」
後ろからぎゅうっとハグするシロヤマを、薄ら笑いを浮かべた横目で見
「近くで見ても
そう、キザな笑みを浮かべて淡々とシロヤマは言う。
「ならば話は早い」
セバスチャンはそこで一旦区切ると
「赤ずきんの
容赦ない視線を向けて、言葉を付け加えた。
「え?仕留めるって……」
「あなたがその気なら、こっちも本気で攻めますよ」
セバスチャンはやる気じゅうぶんだ。思いがけない展開に、シロヤマは動揺した。
おやおやぁ……な~んか話がおかしな方向へ傾いてないかい?
余裕のある笑みを浮かべつつも、シロヤマは妙な違和感を覚えた。
セバスチャンの気を引くため、あえて同性に興味があるフリをして、嫌がらせをする。ここまではシロヤマの計画通りだった。
だが、その計画を知ってか知らずか、嫌がることなくセバスチャンは、シロヤマの話に乗っかってきたではないか。
これは、平静を装いつつも静かに動揺するシロヤマにとって、予想外のことだった。
「俺、女じゃなくて男なんだけど……きみはそれでいいのかい?」
「容姿端麗ならば、男女どちらとも愛せます。あなたは私の許容範囲にある。ですから……愛を受け入れる準備が整った今、容赦はしませんよ」
機敏な動きで身を翻し、シロヤマの腕を振り解いたセバスチャンは、ガバッとシロヤマを抱きかかえて顎クイすると、容赦なく宣告した。
「ちょっ……タンマ!念のため言っておくけどコレ、万人向け小説だからね?!腐向け小説じゃないから!全年齢対象の健全小説だから!!」
「キス程度なら、さして問題ないでしょう。(俺的には完全アウトなんだが……とシロヤマは内心呟く)続きは場所を変えてゆっくりじっくりと……」
「イヤイヤイヤイヤ!それおかしくない?!」
冷や汗をだらだら流しながら、シロヤマは慌ててつっこんだ。
「近くで見ても容姿端麗な人ほど、モノにしたいのでしょう?ならばこれくらい問題ないじゃないですか」
本気だ。本気で俺の唇を奪う気だ。
薄ら笑いを浮かべるセバスチャンに、いよいよ慌てたシロヤマは、身の危険を感じた。
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