第6話 死神さまの発想Ⅱ

 やっぱりこいつの発想ぶっ飛んでやがる。


 もはやつっこむ気にもなれないまりんと細谷は内心そう思った。

 さっきよりもキャラ変わってるし、怪しさ倍増だし、一体なにを考えてるのか分からない。嘘か本当かさえもさっぱり分からない。

 面前に佇む相手と向き合う細谷は、身の危険を感じた。

「そんなに怖がることはない。初めは優しいところから、ちょっとずつステージアップして行けばいい」

 急に変なスイッチが入ったらしい。そこまで言い終えた相手のボルテージが最高潮に達した。

「さぁ、始めよう。男同士の燃えるような、新感覚の禁断の恋を!今こそ!大人の階段を上ろうではないかぁ!!」

「そんなんで大人の階段上りたくねぇし!つか、無垢でピュアな女の子の前でナニ語っちゃってるの?!おまえそんなキャラだったけ?!なんかもう別の意味で怖いわ!」

 一気に上昇した相手のボルテージに追いついて行けず、細谷が怒濤のつっこみを入れる。

「細谷くん……だったね」

 徐に、キザな笑みを浮かべた相手が細谷に尋ねる。

「きみなら受けと攻め、どちらを選ぶ?」

「聞けよ!人の話!!」

 もはやキャラ崩壊寸前の相手に、細谷の怒濤のつっこみが続く。

 この時点で、細谷の横で放心状態と化すまりんには、男同士の会話がまるで理解できていなかった。

 ふと真顔になった細谷は、冷静沈着に自分の想いを告げた。

「真面目な話……俺は、普通の恋愛をしたいと思ってる」

 そこで言葉を切り、まりんの方に向き直った細谷は「俺が本気で好きなのは、赤園まりんだけだ。もし、この場に恋敵ライバルがいるとすれば、絶対に渡さない」と、断言した。

「それは、彼女に対する愛の告白……と受け取っていいのかな?」

 背を向ける細谷に、相手が真顔で淡々たんたんと尋ねる。

「そう取ってもらって構わない」

 まっすぐ前を見据えたまま、細谷はびしっと返事をした。

「それと最後の言葉は、きみからの宣戦布告として受け取っておくよ」

 冷やかな視線を、細谷の背中に投げかけた相手は「彼女を愛するきみにとって俺は、強力な恋敵ライバルだから」と言葉を付け加えた。

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