第4話 まさかの......

「赤園……大丈夫?」

 相手が怯み、石化している間に、細谷はまりんの方に歩み寄ると、具合をいた。心配するその声に、まりんは泣き止むと、笑顔で応じた。

「うん、もう大丈夫。でも……」

 急に顔を曇らせたまりんは、真顔で見詰める細谷に、相手から呪いをかけられたことを打ち明けた。キスをされたところは伏せて。

「……ごめん。怖い思い、させちまって」

 まりんはきょとんとした。

 なんで細谷くんが謝るの?謝んなきゃいけないのは、あの男なのに。

「俺が、呪いをいてやるよ」

 そう言うと細谷は、徐に向き合うまりんの両肩を掴んだ。

「これからキスしても……いい?」

 ちょっぴり頬を赤らめた細谷が真顔で、爆弾発言した。間近で耳にしたまりんは動揺した。

「そ、そそそそれをしないと……の、のの呪い……解けないの?」

「うん」

 物凄く動揺するまりんの問いに、細谷はしっかりと答える。

「赤園が嫌なら……しないけど」

 細谷はそう言ったものの、心なしか、悲しげだ。

「そ、そんなこと……!呪いが解けるなら……細谷くんとなら、してもいいよ」

 頬をまっかに染め、切ない眼差まなざしで細谷を見詰めたまりんは、承諾した。

「ありがとう。じゃあ……」

 まりんの返事を聞き、微笑んだ細谷。そっと顔を近づけると、まりんとキスをした。唇と唇が重なり、柔らかな感触が両方に伝わる。

 さっきはあんなに嫌だったのに、相手が細谷くんだと安心する。やっぱり私は、細谷くんのことが好き。恥ずかしいけれど嬉しい。好きな人とするキスって、こんなに気持ちがいいものなんだ。


「ハイ、そこまで!」

 いつの間にもとに戻ったのか。強引に割って入った相手が、いいムードの二人を引き剥がした。

「俺が石化してる間にイチャつきやがって……そこの君ィ!」

 憤慨した相手が細谷の前に立ちはだかり、ずびしっと指差しながら大声を張り上げる。

「なんてことしてくれたんだ!あれは、彼女を護るためのものだったんだぞ!」

「おまえに護れるもんか。赤園を狙ってるくせに」

「彼女を狙ってるのは、きみも同じだろう?」

 相手を睨みつけ、凄みを利かせる細谷に、フンッとキザな笑みを浮かべた相手は静かに言葉を付け加える。

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