第5話 シラネの能力

「俺の、ステータス…か?」


 宝来尊ほうらいみことは、ウインドウの表示を見つめながらボソリと呟く。


 オール100…とても強いとは思えない。


 いやいや待て待て。もしかすると、この世界のステータスは、100がマックスという可能性も充分に考えられる。


(何とかシラネのステータスが見れねーかな)


 何となくだが、直接本人に聞くことははばかられた。万が一弱いと知られれば、その後がどうなるのか想像がつかない。


 宝来尊は四天王「未設定」項に当たりを付けて、カーソルを合わせてクリックする。すると画面が切り替わり、4個の空白のスロットが表示された。


 それから、そのスロットのひとつをクリックすると…思ったとおりだ。下部にプルダウンウインドウが開き、シラネの名前が現れた。


(シラネだけか)


 もうひとりの表示はない。もしかしたら、お互いに認識していないのが原因かもしれない。


 まあ今は、そんな事はどうでもいい。宝来尊は、当初の目的であるシラネの名前をクリックした。


(……マジか)


 そのまま左手で額を押さえると、ガックリと力なく肩を落とす。


「ミコトさま…?」


 突然の宝来尊の落胆ぶりに、シラネが心配そうな声をあげた。


「あーいや、何でもない。状況把握にもう少しかかるから、悪いけど時間貰うね」


 宝来尊は愛想笑いを浮かべると、再びウインドウへと視線を向ける。


 そこには、


 シラネ

 職業 :滅殺死天使


 体力 :100千

 魔力 :500千

 攻撃力:300千

 敏捷性:150千


 四天王に登録しますか? OK キャンセル


 宝来尊の僅かな期待を他所に、ウインドウは残酷な現実を表示し続けていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る