第4話 魔王のスキル

 気を取り直して、宝来尊ほうらいみことは魔王の玉座に腰を下ろした。すると不思議な事に、頭の中に城内の様子が流れ込んでくる。


 地上部分が四階建てで、地下に一層を含む五階層になっている。魔王城の規模は魔王の魔力に依存しており、先先代の崩御を機に規模の縮小を余儀なくされたようだ。


「はー、それにしても…」


 見事に誰もいない。まさに空城とはこの事だ。しかしその時、宝来尊は地下の一室にひとつの反応を感じ取った。


「あれ? もうひとり誰かいるな」


「…あの者、ですね」


「へー、シラネさんの他に、残ってくれた人がいるんだ?」


「先程も思いましたが、どうか、わたくしの事はシラネとお呼び捨てください」


 そう言ってシラネは、片膝をついて頭を下げる。


「え⁉︎ あー、分かった。次からそうします」


「お話を遮り申し訳ございません。それから今の話ですが、おそらく向こうの方たちは、あの者の存在を把握しておりません」


「え、そーなの?」


「はい。と言うか、その者本人も、今のこの城の現状に気付いていないかと思われます」


「…どーいう意味?」


「聞いた話ですが、もう三億年ほど自室に篭っておられるとか。勿論わたくしも、お会いした事がございません」


「…………そう」


 中々規格外の引き篭もりだ。宝来尊は、只々無表情で頷いた。


「あれ?」


 そのとき宝来尊は、玉座の右の肘掛けに、何やらマウスのような物がある事に気付く。試しにクリックしてみると、マウスの先の空間に、ピコンとタブレット程のウインドウが開いた。


 ホウライミコト

 職業 :魔王


 体力 :100

 魔力 :100

 攻撃力:100

 敏捷性:100


 四天王:未設定


 スキル:絶対防御(常時発動)

 解除後、第六感発動から5分間のクールタイムが必要。クールタイム終了後、自動発動。

 スキル:「ハハハ、今から本気を見せてやる」

 絶対防御発動中使用可能。発動コマンド「本気」

 スキル:「残念だが瞬殺だ」

 絶対防御発動中使用可能。発動コマンド「瞬殺」

 スキル:第六感

「本気」「瞬殺」効果終了後、自動発動。


 ※注意:全スキル、併用不可。


 …………なんだコレ?

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