102話 ツイネタ5
≪お題≫
異界渡りの魔女は相手の似顔絵を描かないと出られない部屋に閉じ込められました。
#2人でOOをしないと出られない部屋
再び○○しないと出られない奇妙な部屋に入った私は、用意された画材と無茶振り指令に、色々投げたくなった。
「なんという無茶振り」
相手をお互い書くという事は、お互い見つめ合うような体勢になるわけで。
豚なんかジッと見てもいい事なんてないのに!!
「動くなよ。絶対動くなよ」
「目を開けないで下さい。絶対目を開けないで下さい」
「無茶いうな。見ずに描けるか!!」
王子が正論を叫んだが、色々辛いのだ。
「妄想で描いた方が美しいものです」
「俺はありのままのお前が好きだ」
私は世の事実を述べてみたが、甘ったるい言葉で撃破されてしまう。うっ。豚へのダメージは大きい。
「嘘ですね。太ると怒るじゃないですか」
「当たり前だ。お前には長生きしてもらうんだからな。というか、話をそらすな。そんなに絵心がないのか?」
「……ないんです」
それもあるけれど、王子の緑の瞳でじっくり見られるのが辛い。しかし、それは言ってはいけないセリフな気がするので、私はお口にチャックする。
「今更、俺に恥じる必要ないだろ。お前の糞みたいな部分も含めて愛してるんだから」
「……さっきからなんで、ひたすらそういうアピールするんですか。嫌がらせですか?」
止めて。糖質は食べ物だけで十分間に合ってる。
「言葉を惜しむのはやめたんだよ。さあ、きびきび描け。この部屋を出たら、おやつにしよう」
「うっ。色々、マズイ気がする」
おやつは嬉しい。それに流されていきたいけれど、この甘い毒は色々不味い。
「なにがだ?」
「……色々です」
言語化するとさらに豚への衝撃が大きすぎる気がするので、私は貝になる事にした。
◇◆◇◆◇◆
≪お題≫
あなたは3RTされたら「お前の頭撫でてると落ち着くな…」の台詞を使って異界渡りの魔女と王子を描(書)きましょう。
https://shindanmaker.com/528698
今日も元気だ、王子がおかしい。
おんぶお化けと化した王子が先ほどから、ひたすら私の頭を撫でている。何だろう。何の修業だろう。
それとも私の頭を撫でると何かご利益が起こるのだろうか。子豚の神がもたらせる福……、五穀豊穣?
「お前の頭を撫でると落ち着くな……」
「……アニマルセラピーですか?」
「ああ。癒される」
まさかの、豚によるアニマルセラピーだと?!
こういう時は、使い魔の犬系とか猫系とか――とにかくもふもふ系をもふもふ撫でる方がいいのではないだろうか。
というか、何でアニマルセラピーをしなければならないほどに、王子は疲れているのだろう? 王子の体力はゴリラだし、メンタルは鋼だ。
はっ。まさか。
「一度、お祓いしますか?」
「なんでだよ」
私が親切で助言すると、ツッコミが入った。
「いや、もしかして、最近の王子の奇妙な行動は、生霊にとりつかれているのかもしれないと思ってですね」
「いきりょう?」
「異界の概念なのですが、生霊は生きている人が強い想いを別の人に向けていると、その向けられた人が病んだり、不幸になったりする仕組みだそうです」
「異界は恐ろしいところだな」
私もそう思う。
願えば叶うって、最強すぎやしないだろうか。
「というわけで、過去でも今でも、誰か女性を不幸にしたとかしてませんか?」
「何で女性――あっ。してるな」
マジか。
いや、異界の概念なので、こちらの世界でそんな現象があるなど聞いた事ないけれど、まさか王子、女性を不幸にした事があるなんて。
一体誰を不幸にしたのか。
何処のご令嬢が王子に無体な働きをされて悲しんでいるのか。
「あの。王子。もしも本当に心当たりがあるなら、誠心誠意償った方がいいかと」
だってゴリラ系王子が病むほどの怨霊だ。もう、お祓いではなく、物理的に謝罪した方がいいのではないだろうか。
「ああ。そうする」
そう言って王子は、私の頭でアニマルセラピーを続けるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます