99話 ツイネタ2

≪お題≫

異界渡りの魔女と王子は梨を60こずつ食べないと出られない部屋に閉じ込められました。

#2人でOOをしないと出られない部屋

https://shindanmaker.com/689645


 再び変な部屋に来てしまった私は、目の前に置かれた果物と指示に目を輝かせた。

 これよ! これこそ私が望んでいたお題だ。王太子、分かってるじゃない。

「まかせて!」

「兄上!! アウト!! チェンジ!!」

 私が嬉々と引き受けようとすると、王子が空に向かって叫んだ。……この空間の声、以前の王太子の様子を見る限り聞こえていないと思う。

 ふふふ、天は私に味方している!


「大丈夫です。異界にはリンゴダイエットがあります。梨はその親戚です。時間制限もないしいけます。それに、1食1個なら、1日3個。20日で終わります」

 あっという間だ。

 そして梨は美味しい。異界の超人フードファイターでなくても、ペロッといけるはず。

「20日も二人っきり……」

「大丈夫です。幸い異界には繋がるので、梨以外も食べられますよ」

 異界に行けば脱出可能なのでは? と思わなくもないけれど、王子は異界に行けないので、流石にずっと梨だけ生活は可哀想な気がする。

 偏食して体調を崩されても、気分が悪いし。


「いや、二人っきりの方を注目して欲しい」

「それがなにか?」

 いつもいるじゃん。



 赤くなったりしながら、悩む王子だったが、結局使い魔は出入りできる事が判明し、コロボックルによって、セクハラは全て阻止され、皆で仲良く完食したのだった。



◇◆◇◆◇◆


≪お題≫

異界渡りの魔女と王子さん達は相手の好きなところを告白しないと出られない部屋に閉じ込められました。

ゆっくりしていってね


*でなくてもいいのよ

#雨降り診断

https://shindanmaker.com/638663


 再び閉じ込められた部屋の中央に置かれた指示を見て、固まる。

 というか、こんな何もない部屋でゆっくりって、何をしろというのか。新手の拷問だろうか?

「……えーっと。顔?」

 とりあえず王子のいいところを考える。

 そしてこれだけは間違いない。彼の顔はかなり私の好みだ。というか、この美貌。嫌いと言う人の方が少ないだろう。


「好きなところか……その夜空のような黒髪も黒曜石のような瞳も好きだし、形のよい眉も石榴のように赤い唇も気に入ってる。何より笑った時にできるえくぼが可愛い――」

 逆に王子は探すの大変そうだなと思ったのに、ブツブツと念仏のように何やら呟いている。あー、聞こえない、聞こえない。

 でも間違いなく、ガチャリとドアの鍵が解除された音が聞こえた。どうやら王子は私の好きなところをひねり出せたらしい。

 そうとなれば、こんな面白くもない部屋に留まる必要はない。


「開きましたよ」

「まだまだ言い足りないし、性格についても――おい。行くな!!」

 今日も元気だ。王子は運動が好きなんだから、こんな狭い部屋にいつまでもいないで、さっさと出て下さいよ。



◇◆◇◆◇◆


≪お題≫

異界渡りの魔女と王子は『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。

40分以内に実行してください。

https://shindanmaker.com/525269


 再び、訳の分からない部屋に閉じ込められた私は、テーブルの上に置かれた最難関のミッションを前に固まった。

「……」

 何これ。

 これを考えた人は正直に名乗り出て反省して欲しい。ここには豚と王子しかいないのに、このお題をどうやって解決しろと言うのか。

 

「おおおおおお、お、俺からしても、お前からしても――」

 王子も同様にかなり混乱の極みにいるようだ。目が泳ぎまくっている。いいですよ、別に。ペットとは言え、豚とキスなんて普通は誰でも拒否する。

 そんな時だった。

「ピー」

 王子の使い魔のコロポックルが入って来た。

 そういえば、使い魔はこの世界と行き来できるんでした。そしてコロポックルは何かを察したようで、王子の方に近づく。


「っ!?」

「コロボックルにほっぺにキスを贈られて良かったですね。コルちゃん、ありがとうございます」

「ピー」

 可愛らしいコロポックルにキスを送られた王子は、感動で声も出ないようだ。中途半端な体勢で固まっている。


「ほら、早く部屋でますよ」

 ガチャリと施錠が外れた音がしたので、もういつでも出られるはずだ。しかし王子は動かないし喋らない。

 ……返事がない。ただのしかばねのようだ。

 そんなナレーションがよく似合う姿に、私は首を傾げた。

「もしかしてキスは初めてでした? 大丈夫、動物は別枠ですよ? ノーカンです」

 返事がない。ただのしかばねのようだ。

 図星だったのか、相変わらず屍である。とんだ、純粋培養な王子様だ。


「安心して下さい。私も麒麟に顔をなめられたことが――」

「ど、どこを舐められたんだ?!」

 仕方がなく、私も過去を暴露すると、王子が再起動した。突然の動き、心臓に悪い。 

「どこと言われても……顔? 使い魔の愛情表現でーーひぃぃぃ」

 私は凶悪な顔をする王子を見た瞬間全力で部屋を逃げ出したのだった。


◇◆◇◆◇◆


≪お題≫

異界渡りの魔女と王子は互いの嫌いなところを20つ言わないと出られない部屋に閉じ込められました。

#2人でOOをしないと出られない部屋

https://shindanmaker.com/689645


 再び閉じ込められた部屋には、また指令が置いてあった。

 今度は、前とは逆のようだ。なるほど。これは言いやすい。

「ーー自制心のなさ、危機感のなさ、破棄破棄言うところ……浮気性もだな」

「浮気性って、王子飯以外をちょっとだけ食べるだけじゃないですか」

 王子も同様のようで、すらすらと悪いところ上げている。これなら楽に20個突破できるだろう。


「ちょっと?」

「ギクッ。い、いや。えーと、次は私ですね。沢山ありますよ」

 確かに、私の間食はちょっとより、もう少し多そうだ。あまり藪蛇をして、破滅フラグが立つと困るので、この辺りで話題を変えた。

「なんだ?言ってみろ」

 王子は何を言われても受けて立つような自信満々な顔をしている。まあ、私が王子を崇めなくても、他の人が崇めているし、自己肯定感高そうだもんね。

 では、遠慮なく。


「まず顔がよすぎて辛いです。ご飯が美味しすぎて執着しそうなのも困ります。いつでも私の話を聞いてくれるとか、本当に困ります。空気読まずに誉めるとか凄い困ります。依存しそうです。それからーーなんで顔が赤いんですか? 嫌いなところ上げてるんですよ?」

「い、いや……続けてくれ」

 何故か顔を赤くする王子に私は首を傾げる。怒っている様子はないので、多分恥ずかしいのだろうけれど……どういう心境なのか。


「空気読まずに毎日くるとか凄く困ります。寂しい時にいてくれるとか、勘弁してください。強すぎるのもドキドキして困ります。使い魔に優しいとことか見るとにやけそうになるので見えないところでお願いします、後……だから、何で嬉しそうなんですか? マゾですか?」

 にやける王子を見て、私は王子の性癖が少々心配になったのだった。



◇◆◇◆◇◆



≪お題≫

異界渡りの魔女と王子さん達は相手のずるいところを告白しないと出られない部屋に閉じ込められました。

ゆっくりしていってね


*でなくてもいいのよ

#雨降り診断

https://shindanmaker.com/638663


 再び不思議な部屋に閉じ込められた私は、新たなるお題を前に、これしかないと思った。

「存在すべて」

「はぁ?! 何だよそれ」

 私の心の底からの訴えに、王子が意味が分からないというような顔をする。いや、私の方こそ、意味が分からない事が多い。


「その美しすぎる顔も料理上手なとこも、優しいとことか、ちゃんと話を聞くできた男みたいなとことか、全部ズルいです。女の敵ですね。こんな人いたら皆惚れます。男の敵でもあるかもしれません!つまり全人類の敵?!」

 高過ぎる能力は、時に敵を作るのだ。

「……俺はお前のそういう無自覚発言がズルいと思う」

「はぁ?」

 どのあたりが無自覚発言なのか。まったくもって、自覚をしているから、ズルイと言っているというのに。


「なら、お前も惚れるのか?」

「私、人類じゃなくて豚なんで。種が違うので」

「ほんと、そういう所だよ。くっそ!!」

 何を今さら。

 豚と王子が結ばれるはずないじゃないですかー。

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