第2話ソフィア中学生

 中学生になると、悪い友達と遊ぶようになった。腕にはタトゥーの蝶が舞う。路地裏で煙草も吸った。初めてパパが怒った。

「ソフィア、何をしているんだ。」

全部自分のせいなのに、バカじゃないの?

「私の事は自分で決める。何をしたっていいでしょう?パパみたいな大人にはならないようにするから、心配しなくて結構。」

皮肉たっぷりに笑顔で言うと、パパの瞳に涙が滲んだように見えた。

「ソフィアの人生は、もちろん自分で決めるんだ。幸せになって欲しい。ただ、人に迷惑をかけてはいけない。人を傷つけてはいけない。自分を傷つけてもいけない。優しい女性になるんだよ。」

何を言っても聞かないソフィアに、パパは笑顔で穏やかにそう続けた。

 

 パパは小さい頃のソフィアを傷つけ続けた事に気づいていないのだろうか。自分のやってきたことを棚に上げて人を傷つけるななんて、なんかちょっと笑っちゃう。ソフィアが万引きをしたり、同級生の持ち物を盗んだりするたび、パパは知らないところで奔走し、先生や同級生に謝って歩き、迷惑をかけたお店にはお金を支払った。泣きながら怒るのはいつもママだった。怒鳴るママをなだめながら、

「なぜ、こんなことをするの?」と静かにパパが尋ねるのがお決まりのパターン。理由なんかないよね。なんかむしゃくしゃするだけ。そんなこと言っても、パパやママには分からない。だから、何も答えない。自分の部屋に行こうとすると、後ろから悲しげな視線を感じた。


 ソフィアのところにはいつの間にか、サンタクロースが来なくなっていた。いつから来なくなったのか、それすらも分からない。そんなのどうでもいいことだ。

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