第12話 勘違いした営業センスゼロのMさん

 これは、私が一時期ネットワークビジネスをしていた時のアップラインMさんのお話です。  

 ネットワークビジネスとは、ネズミ講やマルチ商法と、言われています。私もあの有名なAmwayの会員でした。

 高校の時の同級生から声をかけられ、「彼女の洗脳を解かなければ!」と、アップラインのMさんに会いました。

 しかし、「あやえるちゃんは母子家庭なんだ。旦那さんも介護職だし仕事辞めたがってるんでしょ?で、あやえるちゃんはインストラクターかぁ。誰か家族を支えられるんだろうね?あやえるちゃんしかいないよね?健康で将来の事考えててしっかりしてるのって」と、まんまと弱みに漬けこまれました。

 その後、当時の主人もAmwayの会員となり、むしろ「ネットワークビジネスで天下取りたい」等と言い出し、大量発注やからの借金をしてました。

 しかしその製品を元主人は、営業するわけでもなく愛用もしていなかったのです。   


……あの時は本当に大変だったなぁ。


 話をMさんに戻します!


 Mさんは、とにかく「とりあえず友達紹介して!」と、言ってきました。 

「俺に会わせてもらえれば、俺が会員にしてやるから!」と。


 しかし、実際に友人に会わせると何故かいつも「だからお前は駄目なんだ!」と、友達の仕事や人生に説教をしだすのです。正しく理不尽極まりないアドバイスではなく、“クソバイス”ですね。

  

 ……ええ。もちろん友達にその後私から謝りました。大体の友人は、「むしろあやえるのが大変そう。大丈夫?」と、心配してくれましたが、やはり失う友達も数人いました。

 

 私も営業をしていたので思うのですが、追い詰めるタイプの営業って、本当に上手くいかないです。

 お客様も自分も楽しくも嬉しくもないですし、辛いですよね。

 ならば、ちゃんと商品を理解してメリットをお伝えしてお客様も自分も笑顔になれる様にお話すれば営業は、だいたいスンッと成約して頂けます。

 これは本当に、お客様とご縁に感謝しかないですね。


 その後も、Mさんのカオスは続きます。

 健康サプリメントを販売するに、煙草を吸うだけでなく、歩き煙草からの、道端にそのまま唾を吐いたり、まさかの煙草もポイ捨てしてました。


 私は、喫煙者を否定はしません。私も喫煙者であった事もありました。

 埋められない何か煙のけむりで埋めたくなる時だってあります。

 いつだって、なんだって、身体に悪い物ほど美味しかったり気持ちよかったりする物です。


 しかし、だとしても、社会的なモラルは、人として守ってくれる人でいて欲しかったです。


 元主人もMさんに気に入られたい一心なのか、Mさんが新婚である私達の家に頻繁に寝泊まりに来てもパーティを開いても何も言いませんでした。 


 そんなMさんは、「あやえるちゃんのご主人って本当に口だけで、しかも営業センスないよね。やっぱりあやえるちゃんがしっかりしなくちゃ駄目だよね。」と、言われました。

 ……本人の前で言わなかったら、これはもはやアドバイスではなく、単なる悪口ですのね?


 その後、パーティが開催された時にMさんは「俺、これからもAmwayで成功する為に生活保護受ける!不正受給がなんだ!国だって守ってくれないんだ!自分の事は自分で守って、国でも何でも吸い取れるものは吸い取って、使えるものは使い込んで、利用できる物は利用しつくしてやるんだ!」と、豪語し、それに元主人を含め周りの人達も「カッコいい」と、賞賛してました。 

 

 この光景を目の当たりにした私は、「Mさんって本当に偽物で、この環境も、この人達もおかしい。」と、目が覚めました。


 実際問題、M酸がTwitterやFacebookでリア充アピールをする度に“イイね”の中に、「まだそんな事やってるの?」「三十過ぎて独身でネットワークビジネス」「皆心配してるよ」と、いうコメントもチラホラ見受けられました。


 実際に、「ネットワークビジネスは自由になる為の起業」とは、言いますが、私にAmwayを紹介してくれた友人は、最後は仕事を三つも掛け持ちする様になりました。


……全然、自由じゃないです。


 結局、彼女も友達からは絶縁され、私とは向こうから逆ギレされ、音信不通となりました。

 ただ私は、まだその友人の事が心配だったので唯一連絡が取れた他の友人から彼女の現在を聞くと、まだAmwayを続けており、そして話す事もAmwayだけだったそうです。


 色んな働き方や仕事や思想があると思います。


 しかし、私は思うのです。


……Amwayがなんか可哀想!

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