第9話 究極の宗教パワハラOB!

 これは、私が大学生の時に所属していた、応援部チアリーディング部の時のOBの先輩のお話です。


 チアリーディング部と聞くと、皆様はとても華やかで、正しく“THE青春”なイメージがあるかもしれません。しかし実際は、ゴリゴリで熱血的な体育会系です。OBの方達は、明治大学の応援部に強い憧れを抱き、リスペクトをしていました。なので、ユニフォームから練習方法や応援の仕方や応援の振り付けまでも、明治大学にそっくりでした。 

 フジテレビの「ザ・ノンフィクション」で応援部の特集があったのですが、正しくあの内容にちかいものです。


 しかし私は、チアリーディング部に所属しながらも生活の為に、アパレルのアルバイトをしていました。もちろん他にもアルバイトをしている子もいましたが、居酒屋等のアルバイト。チアリーディング部の活動は平日の火曜日と木曜日戸金曜日。なのでその日以外は基本的にアルバイトをしていました。

 すると、OBの方達は社会人の為、土日祝日しか来られません。なのでOBの方達が指導に来てくださる時はアルバイトをお休みさせて頂いてました。


 しかし、だんだんとOBの方達は執拗なまでに現役の私達に関わってくるようになったのです。   


 まず、OBの方達の知り合いの結婚式でのバックダンサーをやる事となり、「身体の中から清めて応援をするのが美学」と、言って日本酒を瓶から直接ラッパの回し飲みをしてから応援のパフォーマンスをさせられました。当時未成年だった私は、かなり酔っ払い、フラフラしたままパフォーマンスをしたのを覚えています。


 また頼んでもいないのに、先輩に「俺達が卒業したのにわざわざ時間割いて来てやってるんだぞ?!」と、言って、ほぼ毎週土曜日に指導に来てました。

 そんなある日、私は貧血気味でしたが、自分が休むと先輩が怒られてしまうと思い部活へ行きました。いつも河原まで応援用の大きな太鼓を運び、OBの方がその太鼓を叩き、他のOBの方は私達の後ろで竹刀を持ちながら歩いたり、竹刀を持って無言のまま後ろにピッタリとくっついて立っていたりそんなカオスな状況で校歌を一時間以上大きな声で振り付きで歌わさせられました。そして、側転で体育館を五周させられました。

  

 今思えば、社会人となってはしゃぐ場所がなくなったOBの方達が、自分達の青春を取り戻したり、ストレス発散の為に、現役の私達の所に来ていたのではないか、と思います。


 そんなある日、土曜日の部活の後にOBの先輩方が「俺達とこの後、飯食いに行くぞ。」と、言うのです。他にも居酒屋でアルバイトをしていた子が、本当は彼氏とのデートだったのですが、アルバイトだと嘘をついて帰ってしまいました。

 私も帰りたかったのですが、ご飯へ着いていき、いつもOBの方達へのご飯の盛り付けとお酌をして、昔の武勇伝話を聞かされるだけでした。 


 チアリーディング部員は、キャバクラ嬢じゃないんだぞ!


 そして、「来週も来てやるからな」と、突然言われ、私はアパレルのお正月のバーゲン期間だった為アルバイトのシフトを入れていたのです。

 すると、OBの方が、  

 「あやえるはなんでアルバイトしてるんだ?」と、怒鳴ってきました。素直に「生活の為です。」と、答えると、「他の部員を見習え!皆はな、胸を痛めながらも親御さんのスネをかじらせてもらってお小遣いもらって部活にかけてるんだ!そんな事もわからないのか?!」と、更に怒鳴ってきました。


……はい。わかりたくもありません。   

 

 部活で使うチアリーディングのグッズだってアルバイトのお金で買ってましたし、母子家庭だった私は食事や掃除等もずっとやっていましたし、それらの食費や生活費もアルバイトのお給料でした。

 

 やっていられないな、と目が覚めた私は、チアリーディング部を辞めました。

 しかしその後もOBの先輩方から「戻って来い」と、連絡が来て、顧問の先生からも個別で呼び出されて「戻ってきてほしい」と、説得されました。

 それでも一ヶ月以上断り続け、こんな事もあり、結局OBの方達は、顧問の先生から「現役生にもう関わらないよう」と、指摘が入り、更には翌年に現役部員から「もう来ないで下さい!」と、一喝されたそうで、応援部チアリーディング部にはその後平穏な日々が訪れたそうです。

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