第8話 ある意味セクハラ?Yさん
これは私がパチンコ店の事務員をしていた時の男性社員のYさんのお話です。
当時の私は諸事情があり、電車の中で声変わりしていない男子中学生の制服シャツが少し振れただけで身体の力が抜けて立てなくなってしまう程の男性恐怖症でした。
なので、当然成人男性は完全にアウトでした。男性しかいない環境にいると手が震えだして涙が出てきたり過呼吸になってしまう程でした。
それも店長に報告させて頂き、恐らく店長から全スタッフにも伝えて頂けたのでしょう。出来るだけ休憩回しやシフトも女性社員様を事務所に要られるように考慮して頂き、男性社員様達も書類等を渡したりする時には、私に触れないようにしてくれたり、「今話しかけても大丈夫?」と、一声かけてくれたり、社内メールやLINEで話しかけてくれる方までいました。
しかしYさんは、違いました。
社内の社寮に住んでいたのですが、どうやら他の社員さんから聞いたのですが、とにかく“汚部屋”だそうでゴキブリが沢山出て悪臭が凄かったそうです。
Yさんは、物凄くイケメンでした。しかしいつも眼鏡が汚れていて、ボサボサ頭のフケも酷く、お風呂に入っているのかな?と、私も思っていました。
しかも物凄いクチャラーで、いつもデスクの上でご飯を食べては食べこぼしていました。
挙げ句のはてには、「彼女と別れた。本当に何にもできない使えない女だった。」と、事務所で暴言を吐き出したりしていました。
何も出来ていないというか、何もしなさすぎなのはYさんなのでは?と、思いました。
店長様も「彼はきっと、お母さんに甘やかされて何でもやってもらってきていたんだろうね。」と、言われていました。
そんなYさんに何故か私は目を付けられました。
やたらとYさんからお仕事のお手伝いを頼まれました。私は、苦手意識がありながらもお仕事なので対応していました。
しかし、Yさんはなんと不正の常習犯だったのです。トラブルが起こる度に突き止めるとモニターやデータ上でもだいたいの原因はYさんで、その都度店長に叱られ、本社からの全体通達からの顛末書の繰り返しでした。
そんなある日、Yさんの担当していた企画で金銭トラブルが発生しました。
お店の金庫や経理管理は全て事務員のお仕事です。私が確認するしかないので、恐る恐る私はYさんに話しかけました。
「Yさん。お忙しい所すみません。先日の企画で使われた金銭が合わないので、私も確認させていただきましたので、お手数ですがYさんにもご確認頂いても宜しいでしょうか?」
「俺、忙しいから無理だよ。」
「ですが、このままですと数値があわず、どなたかかが横領や不正をした事になってしまうんです。ご協力頂けませんでしょうか?」
「え?何?俺の事疑ってんの?!」
と、事務所内にYさんの大声が響き渡りました。
しかし月末の本社への小口提出間近でもあった為、私も引き下がれません。
「俺、フロア回さなくちゃいけないんで。」
と、逃げようとするYさん。
「Yさん!話は終わってません。」
と、私が声を掛けたときに、
「忙しいって言ってんじゃん!」
と、ガッシリと手首を掴まれて大声を出して、私の身体をYさんに近付けられました。
私は一気に血の気が引いてトイレに駆け込み過呼吸になりました。
その後、店長と他の社員さんが、Yさんに確認する様に指示してくださり、なんとか無事にことは終えたのですが、なんだかんだ男性の焦りや嫉妬や恨みはある意味女性よりも怖いのかもしれない、と思いました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます