第5話 夢見る乙女系上司Kさん

 これは、私が社会人初めてのインストラクターの時の私の教育係の女性の方のお話です。

 彼女は、高身長でした。元バスケットボール部なのもありかなりガタイがしっかりされてました。確か身長170センチの体重70キロはあったと思います。ご結婚されており、十歳年上のご主人様とは高校生の時からお付き合いをされていたそうです。

 とにかく彼女は凄い固定概念と、頭の中がいつも少女コミックの様な方でした。


 例えば、私はいつもご飯を笑顔で食べているそうなのですが、

「あやえるちゃんって、いつも笑顔でしあわせそうにご飯食べてるよね。」

「よく言われます!本当に美味しいですしご飯を食べている時しあわせなんです!」

「へー。私はお母さんにご飯を美味しそうに食べるなって言われてたんだよね。」

「そうなんですか?」

「だって自分の家で美味しいご飯食べられてないんだなって思われちゃうじゃん。」

……でもそんな事を言ってくるKさん、お箸の持ち方が本当に酷かったのです。


 私はお世話になっている先輩ですし、色んな家庭環境があるんだなぁ、くらいに思っていました。


 その後も、Kさん。生まれてから現在まで耳かきと爪切りを自分でやった事がないと言うのです。

 どうやらずーっとお母様にやってもらっていたそうで、ご結婚されてからはご主人様にケアして頂いているそうです。


 そして私は物覚えが本当に悪いので、私が入社してから二ヶ月後に入社したスタッフにあっという間にマニュアル等の暗記を抜かれてしまいました。

 もちろん容量も良く、ハキハキとしたそのスタッフは直ぐにKさんのお気に入り。


 その日から差別といじめの毎日でした。

 

 例えば、雪の日でもそのスタッフとは、店内でマニュアルの勉強やイベントの準備を行い、私には外のポスター貼りや営業活動に行かさせられてました。

 物覚えは本当に悪かったのですが営業が得意だった私は、外で数値をとっていました。

 すると、Kさんは、

「あやえるちゃんって、マニュアル覚えられないのに営業は取れるんだよね。私、営業とか無理ー!」と、笑われました。


……ツンデレでほめてくれたのかな?と、私は脳内変換しました。


 更に、マネージャーが来た時には、

「マネージャー。あやえるちゃんの物覚えが本当に悪いんです。教えても教えても伸びないし、吸収もしないから、なんかスポンジとか蒟蒻に教育してるみたいで辛いです。」と、いきなり泣き出しました。しかも泣き方が少女コミックの主人公の様に泣くのです。

 ……人の事を悪く言うのは本当によろしくないと思いますが、その時流石に心の中で「ガタイの大きいアラサーでその泣き方は……大変申し訳ないけれども痛いです!Kさん!」と、ドン引きしてしまいました。

 その後、そのKさんはご懐妊し、出産し現場へ戻ってきました。

 すると全体会議で復帰の挨拶の際に、「私、覚悟してるので!覚悟出来てるので!」と、声高らかに言いました。

 ……え?覚悟って何?なんの宣言?

 

 お財布を買い替えた時には、「あやえるちゃん、新しいお財布?へー。子供出来たら自分にお金使えなくなるんだよねぇ。」と、言われました。


 そんな彼女は、毎日ホットモットの唐揚げ弁当と、ご主人様と一人一袋ずつポテトチップスを抱えて食べているそうです。


 しかもインストラクターなのにマシンの練習や運動もしたがらないという。


 本当に彼女にはお世話になりました。

 しかし……言わせて頂きたいのてます。

 だからそんなに大きいんだよ!

 自分が商品みたいなものなのだから、せめてインストラクターとして、運動だけはしていて欲しかったです。

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