第16話事件はまだ終わっていない

八月十五日午前九時はちがつじゅうごにちごぜんくじ、イーサンとジェームスはテレビきょくでマジックを披露ひろうしていた。

世界的せかいてき有名ゆうめいなマジシャンであるジェームスはテレビによくるが、今回こんかいアシスタントとしてイーサンもることになった。

完璧かんぺきです、さすがジェームスだ!!」

「ハハハ。これから海外かいがいまわるのはきびしいようだから、しばらく日本にほんからわたしのマジックをとどけることにしよう。」

今回息子こんかいむすこさんとはじめての撮影さつえいでしたけど、息子むすこさんもすご上手じょうずですね。」

「イーサンもうでげた、これからは親子おやこマジシャンとして頑張がんばろうとおもいます。」

「いいですね、たちまち話題わだいになりますよ。」

「アハハハ、それはたのしみだ。」

豪快ごうかいわらうジェームスにイーサンはほっとした。

この新型しんがたコロナ影響えいきょうでイベントの中止ちゅうし相次あいつぎ、ミュージシャンや大道芸だいどうげいなどで活躍かつやくしている人達ひとたち仕事しごとくしている。

天星家あまぼしけでは蜜柑みかん専業主婦せんぎょうしゅふなので、ジェームスのかせぎがたよりなのだ。

「イーサン、おつかれ。アシスタントしてくれたご褒美ほうびに、アイスクリームをってあげよう。」

「やったー!!」

イーサンはがってよろこんだ。

「あ、そういえば今朝けさのニュースた?」

てないよ、一体いったいどうしたんだ?」

長篠組ながしのぐみ組長くみちょう警察けいさつつかまったんだって、これで一安心ひとあんしんだね。」

「そうか、それはかったな。」

ぼくたちでまちまもったんだ!!」

イーサンのこころ自信じしんあふれていた。











テレビきょくのすぐちかくに、アイスクリームを販売はんばいする移動販売車いどうはんばいしゃがあった。

新型しんがたコロナでもなつにアイスクリームをべたいひとおおく、結構長けっこうなが行列ぎょうれつができていた。

「うわあ、これじゃあアイスクリームべるまえぼくけちゃうよ・・・。」

「アハハハ、ナイスジョークだ!」

すると「てえ!!」という大声おおごえこえた、イーサンとジェームスがこえのするほうくと、いかついおとこべつ二人組ふたりぐみおとこわれていた。

われているおとこにイーサンはおぼえがあった、りん誘拐ゆうかいした集団しゅうだんにいた田中たなかだった。

「あ、田中たなかだ!」

「ほんとだ、たすけてあげよう!」

ジェームスはシルクハットにマントをかぶせ、二羽にわはとをシルクハットからした。

二羽にわはと二人組ふたりぐみほうんでき、二人組ふたりぐみあたました。

二人組ふたりぐみはとられているすきに、イーサンとジェームスは田中たなかれてはしりした。

すこはしったところで、田中たなかがイーサンとジェームスにづいた。

「おまえたしか、チーム・ブンガブンガのイーサンか?」

「そうだよ、こっちがパパのジェームス。」

「よろしく!ところで、われていたみたいだが・・・?」

「あんたらにはもう関係かんけいないことだ。」

「いやいや、とてもになるよ。おしえて!」

「だから関係かんけいねえって言ってるだろ!!」

すると田中たなかのおなかった。すかさずジェームスがった。

「ランチをおごってあげるから、くわしいはなしおしえてくれ。」







イーサンとジェームスと田中たなかちかくの喫茶店きっさてん入店にゅうてんした。

イーサンとジェームスはアイスクリーム、田中たなかはナポリタンを注文ちゅうもんした。

「それで、どうしてわれていたんだ?」

「・・・っておくが、くびむとヤクザにねらわれることになるぞ。」

「ということは、あなたをっていたのはヤクザ?」

田中たなかちいさくいた。

「そんなのは関係かんけいない、こまっているひと見捨みすてられないんだ。」

「そうだよ、ぼくとパパはみんなのためになることがきなんだ。だから危険きけんなこともへっちゃらなんだ。」

「バカな親子おやこだ・・・。」

田中たなかはつぶやくと、こと真相しんそうはなはじめた。

おれっていた二人ふたり田亀組たがめぐみ連中れんちゅうだ、̝田亀組たがめぐみ長篠組ながしのぐみ勢力争せいりょくあらいで度々衝突たびたびしょうとつしていたんだ。」

「でも長篠組ながしのぐみ組長くみちょうつかまってくなったんじゃないの?」

「そうだ、ちなみに組長くみちょうつかまったのはアニキが組長くみちょうのことをサツにタレコミしたからだ。」

「アニキって、桐島きりしまのこと?」

「ああ、昨日俺きのうおれとアニキはおれんでいたんだが、そのときにアニキは覚悟かくごめて組長くみちょうをサツにしたんだ。」

「でもそれは組長くみちょう裏切うらぎることだろ、どうしてそんなことをしたんだ?」

ジェームスが質問しつもんした。

清藤きよふじわれていたんだ、組長くみちょうをサツにせば長篠運輸ながしのうんゆ仕事しごと斡旋あっせんしてくれるって。」

清藤きよふじってだれ?」

田中たなかは「みみせ」とジェスチャーした、イーサンとジェームスがみみ田中たなかくちけた。

小牧市こまきし市長しちょうだ。」

田中たなか小声こごえうと、イーサンとジェームスは「えええーーーーっ!!」とさけんだ。

「しっ、こえるだろ。」

「すまなかった。」

ここでそれぞれの注文ちゅうもんした料理りょうりはこばれてきた、田中たなかはナポリタンをべながらつづきをはなした。

じつうとふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ組長くみちょう清藤きよふじ二人ふたり起業きぎょうしたんだ、だけど名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうとのたたかいで利益りえきられなくなって、清藤きよふじふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ組長くみちょうてることにした。そこでアニキに裏切うらぎるように、はなしちかけたということ。」

「そうだったんだ・・・。」

「それで今朝けさおれとアニキが会社かいしゃかっていたら田亀組たがめぐみ連中れんちゅうあらわれて、『おまえらにはえてもらう。市長しちょうのためにだ』とわれておそわれたんだ。それでアニキがおれかばって、がしてくれたんだ。」

「いいやつだな、桐島きりしまって。」

「うん、それにくらべて清藤きよふじっていう市長しちょうひどいよ!やっつけなきゃ!」

イーサンは使命しめいえるつきになった。

「そんなの無理むりだ、相手あいて市長しちょうとヤクザの集団しゅうだんだ。おれとアニキとおまえ親子おやこんだとしても、てる相手あいてじゃない。」

「だったら『チーム・ブンガブンガ!』がつからしてあげるよ。」

「ガキのれがわっても無理むりだ。」

するとそのとき田中たなかのスマホがった。

「はい、田中たなかだ。・・・どうしたんだ、そんなにあわてて・・・・なんだと!!いまかうからな!」

通話つうわった田中たなかは、のこりのナポリタンをくちなかいそいでれた。

一体いったい、どうしたんだ?」

長篠運輸ながしのうんゆ田亀組たがめぐみ占拠せんきょされた、部下ぶかなかめられている。」

大変たいへんだ、はやたすけないと!!」

「おまえらはるなよ、相手あいてはヤクザだし、それにこれはおれたちと田亀組たがめぐみとの問題もんだいだからな。」

そしてナポリタンをたいらげた田中たなかは、店員てんいん事情じじょうはなして喫茶店きっさてんしていった。

「どうする、イーサン?」

田中たなかさんだけじゃまずいよ。よし、連合れんごうちからりよう。」

「それがいい。」

イーサンはスマホで大島おおしま電話でんわした。

大島おおしまさん、いますぐ長篠運輸ながしのうんゆかって!!」

「どうしたんだ、そんなにあわてて・・・?」

田亀組たがめぐみあばれているんだ、はやくしないと田中たなかたちがやられてしまう!!」

なに!!しかし、やつらとはもうんだことだろう?」

大島おおしまさん、もし田中たなかさんたちをたすけたら、面白おもしろいことがわかりますよ。」

「ほう・・・、それはになるな。」

これは大島おおしま興味きょうみしめしたとき言葉ことばだ。

「だからはやて、おねがい!!」

「わかった、友近ともちかかわせるからわせの場所ばしょおしえてくれ。」

中京ちゅうきょうテレビのまえ。」

「わかった。」

通話つうわれると、イーサンとジェームスは代金だいきんはらって、いそいで中京ちゅうきょうテレビまえかった。

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