第9話スーパーマーケット戦争(後編)

午後一時ごごいちじ長篠組ながしのぐみ組員四十人くみいんよんじゅうにん占拠せんきょするサスガスーパーでは、きゃく従業員じゅうぎょういん連合れんごう巡回員じゅんかいいんわせて八十人はちじゅうにん人質ひとじちとらわれていた。

新型しんがたコロナウイルスの影響えいきょうで、さいわいにも来客数らいきゃくすうすくなかったのでぐに占拠せんきょできた。

長篠組ながしのぐみ組員くみいん一階いっかい二階にかいで、二十人にじゅうにんづつにかれて人質ひとじちたちを一ヵいっかしょあつめて監視かんしをしていた。

斎藤さいとうのおかげで長篠組ながしのぐみ組員くみいんからりイーサンに事態じたいらせた宮前みやまえ藤宮ふじみやだったが、通話つうわった瞬間しゅんかん発見はっけんされつかまってしまった。

「てこずらせやがって・・・。」

組員くみいん宮前みやまえ藤宮ふじみやからスマホをうばると、フードコーナへれてった。そこに人質ひとじちたちをあつめているのだ。

「おい、れい二人ふたりれてきたぞ。」

「よし、おまえ拷問ごうもんはもういい。」

らせをけたべつ組員くみいんが、袋叩ふくろだたきをしている組員くみいんたちにった。

組員くみいんたちは宮前みやまえ藤宮ふじみやれてくる命令めいれい拒否きょひした斎藤さいとうに、拷問ごうもんをしていたのだ。

空手からて達人たつじんである斎藤さいとうも、すっかりズタボロになっていた。

あおいちゃん!!」

「・・・っ、つかっちゃったのね。せっかくたすけたのに、ごめんなさい。」

「なんてことするのよ、あんたたちは最低さいていだわ!!」

啖呵たんかった藤宮ふじみやだったが、組員くみいん一人ひとりがナイフの刃先はさき藤宮ふじみやくびてると、藤宮ふじみやはたちまちあおざめた。

「いいか、人質ひとじちだということをわすれるな。おれたちの目的もくてきかなうまで、勝手かってなことをするな。最初さいしょからころすつもりはない・・・。」

三白眼さんぱくがんにらみつけられ、三人さんにん大人おとなしくしているほかなかった。




午後三時ごごさんじ、サスガスーパーの正面しょうめんにパトカーがまっていて、警官けいかん長篠組ながしのぐみ組員くみいん交渉こうしょうしている最中さいちゅう、「チーム・ブンガブンガ!」と大島おおしまたちをせた二台にだいくるまはサスガスーパーの裏側うらがわ駐車場ちゅうしゃじょう駐車ちゅうしゃした。

くるまからりたのはイーサン・武田たけだ神島かしま文道ぶんどう風間かざまども五人ごにんと、大島おおしま友近ともちか前崎まえざきもとボクサーの赤谷あかや・ジェームスの大人五人おとなごにんだ。

「さあ、これからミッションインポッシブルのはじまりだ!!」

ジェームスが鷹揚おうよううと、イーサンたちは「オー!!」と気合きあいをれた。

「さすがイーサンの父親ちちおやね、こんなときでも底抜そこぬけのあかるさでいられるなんて。」

友近ともちかがためいきをついた。

「でもたいした度胸どきょうだ。」

赤谷あかや感心かんしんしている。

「いいか?わたしたちはチーム・ブンガブンガの手伝てつだいをするんだ。安全あんぜん確認かくにんできたら、警察けいさつ突入とつにゅうさせるんだ。」

大島おおしま指示しじ三人さんにんうなずいた。

「みんな、麻酔銃ますいじゅうったか?」

イーサンたちは風間特製かざまとくせい水鉄砲みずでっぽうった、なかにはクロロホルムがはいっていてかけられた相手あいてねむってしまうのだ。

「ああ、っている。」

「それじゃあ、突入とつにゅうだ!!」

救出作戦きゅうしゅつさくせんはじまった。

大島おおしま先頭せんとうに、イーサンたち・ジェームス・連合れんごうのメンバーたちがあとつづいた。

裏手うらてぐちから通路つうろをたどり、肉売にくう厨房ちゅうぼうにたどりいた。しかし従業員じゅうぎょういん一人ひとりもいなかった。

「どうやら従業員じゅうぎょういん人質ひとじちのようだね。」

そしておおきなとびらまどからた、組員くみいん一人ひとりあるいている。

ぼくくよ。」

「OK、けて。」

イーサンは組員くみいんとおぎるタイミングでとびらけ「おーい!」とった、そして組員くみいんくと水鉄砲みずでっぽうかおめがけて発射はっしゃした。

組員くみいんはすぐにねむってしまった。

「やったあ!」

「よし、みんないくぞ!!」

全員ぜんいんへとした。

イーサンたちは水鉄砲みずでっぽうあるまわ組員くみいんねむらせ、大島おおしま連合れんごうのメンバーは武道ぶどう組員くみいんたちをたおしていった。

「おい、どうしたんだ!」

組員くみいん一人ひとりてくると、そのまえにジェームスがあらわれた。

「ここにコインがあります、これをハットのなかれて・・・。」

「あんた邪魔じゃまだ!!マジックなんかよそでやれ!!」

「さあ、コインをってください。」

組員くみいんわれたとおりりにハットのなかれると、まるでハットがみついたかのようにはずれなくなった。

いたっ、おいはずせよ!!」

「さすがファーザーだ!!」

ジェームスはイーサンにめられてれた。

「あ、おまえなにしてやがる!!」

ジェームスに気付きづいた三人さんにん組員くみいんが、ナイフをってかってきた。

「いくぞ、カードスマッシュ!!」

イーサンが三人さんにん組員くみいんのすねをねらってトランプを一枚いちまいずつはなった。

すると三人さんにん組員くみいんはトランプがたってころんでしまった、そのすきにイーサンが水鉄砲みずでっぽう三人さんにん組員くみいんねむらせた。

「イーサン、うでげたな。」

今度こんどはイーサンがれた。

「よし、みんな二階にかいこう。あそこにはふく小物こものがあるから、斎藤さいとうたちはそこにいる。」

「よし、くぞ!!」

チーム・ブンガブンガのメンバー全員ぜんいんが、二階にかいへとつづ階段かいだんがった。





二階にかいがるとすぐに組員くみいんおとこつかった、しかし水鉄砲みずでっぽうねむらせた。

「てめえら、何者なにものだ!!」

「うわあ!!」

突然とつぜん文道ぶんどううしろろからべつおとこつかまった。

文道ぶんどう!!いまたすけるからな!」

文道ぶんどうたすけようとしたが全員ぜんいん水鉄砲みずでっぽうはすでに玉切たまぎれになっていた。

「おとなしくしろ、そしてついてこい。」

イーサンたちは仕方しかたなくおとことおりにした、そしてフードコーナへれてかれた。

「おい、どうしたんだそのガキども?」

みよう水鉄砲みずでっぽう仲間なかまねむらせていた、でも水鉄砲みずでっぽうはもう玉切たまぎれのようだ。」

「そうか、人質ひとじちたすけにたつもりだがガキにはまだはやかったようだな。」

イーサンたちは群衆ぐんしゅうなかほうまれた。

つかまっちまったな・・・。」

「ごめん、おれのせいで・・・。」

「いや、これはチャンスだ。ドンパチしてやるぜ。」

イーサンがなにたくらんでいるかおになった。

「みんな、てくれたんだ。」

するとちいさなこえこえてきた、そこには斎藤さいとう宮前みやまえ藤宮ふじみやがいた。

「あ、三人さんにんともとも無事ぶじだったんだ。」

あおい、おまえボロボロじゃないか。」

「あいつらとやりあったんだ、それでこうなっちゃった。」

「やっぱり無茶むちゃしたんだ、さすが斎藤さいとうだな。」

神島かしまあきれた調子ちょうしった。








「レディースアンドジェントルマン!いまからマジックをしますので、たのしんでください!」

おちゃらけたこえでイーサンがった。

「ここにあるのは水滴すいてきかれたカードです、これに不思議ふしぎなマントをかぶせて呪文じゅもんとなえると、だれかが水浸みずびたしになります。」

「おい、なにしてんだあいつ。だまらせてやる!」

いた組員くみいんおとこがイーサンのところにむかった。

「3・2・1、ドボン!」

すると組員くみいんおとこ水浸みずびたしになった。

なんだこれは!どうなっているんだ!?」

イーサンはもう一度いちどカードにマントをかぶせて呪文じゅもんとなえた、またべつ組員くみいん水浸みずびたしになった。

水浸みずびたしになっていく組員くみいんたちに、人質ひとじちたちが大爆笑だいばくしょうをした。

「いいぞ、もっとやれ!」

「あの子、天才てんさいマジシャンだ!!」

「すげえ、かっこいい!!」

人質ひとじちたちは歓声かんせいをあげ、スマホで撮影さつえいするものたちもいた。

「あいつらわらいやがって!!」

「あのガキをとらえろ!!」

組員くみいんたちがイーサンをとらえようとしたとき大島おおしま友近ともちかとジェームスと警官けいかんたちがフードコーナへやってきた。

「おまえたち、一階いっかい仲間なかまはすでにつかまった。もうゲームオーバーだぞ!!」

大島おおしまさけぶと組員くみいんたちは状況じょうきょう敗北はいぼくさとり、全員ぜんいんっていたナイフをそのとした。







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