第8話スーパーマーケット戦争(前編)

八月十一日はちがつじゅういちにち斎藤葵さいとうあおいあざやかなティーシャツとおりのデニムのたんパンをいてカバンをち、マスクをしていえた。

今日きょう二人ふたり友達ともだちとサスガスーパーへものへいくのだ。

一人ひとり陸上りくじょう得意とくい少女しょうじょ宮前優里奈みやまえゆりな、そしてもう一人ひとり幼馴染おさなじみで「チーム・ブンガブンガ!」を監視かんしする藤宮唯ふじみやゆいだ。

いえてから十分後じゅっぷんごわせの公園こうえん宮前みやまえ藤宮ふじみや合流ごうりゅうした。

「ごめん、おくれちゃった。」

大丈夫だいじょうぶよ、じゃあきましょう。」

たのしみだね、ショッピング!!」

三人さんにんならんでサスガスーパーへかってあるした。

「そういえば、サスガスーパーの営業えいぎょうでのあおいちゃんすごかったね。一気いっき十五枚じゅうごまいかわらったところなんか、鳥肌とりはだがたっちゃった。」

あのときのちんどん地元じもとのローカル番組ばんぐみげられた。あのとき大島おおしま番組ばんぐみディレクターにちんどんことはなしていたことをり、放送ほうそうするための撮影さつえいすることになったのだ。

「えへへ、わたしってすごいでしょ?」

「すごいすごい、もうプロ顔負かおまけだよ。ねえゆいちゃん?」

「え、ああそうね・・・。」

藤宮ふじみや表情ひょうじょうおもくなった。

藤宮ふじみやは「チーム・ブンガブンガ!」のことを学校がっこうではわるうが、本音ほんねは「チーム・ブンガブンガ!」にはいりたいとおもっている。

でも学年委員長がくねんいいんちょうという立場たちばと、先生せんせい目線めせんる「チーム・ブンガブンガ!」のイメージがあたまからはなれられず、嫌悪けんおかんじさせる態度たいどになってしまうのだ。

「ねえ、チーム・ブンガブンガってそんなにたのしいの?」

「もちろん、みんなでなかあかるくするのって最高さいこうじゃない。」

「でもそれってただのイタズラじゃないの?」

「もちろんイタズラもだけど、マジックも使つかう。イーサンはどんな話題わだいでもひとたのしませる話題わだいにしてしまうのよ。」

そういえばイーサンはいつも「きみてよ」みたいなことをっている、それはきみあかるくなってよとっているというのか?

やはり自分じぶんとイーサンは価値観かちかん根本こんぽんからちが人間にんげんだとゆいおもった。







あるいてニ十分後にじゅっぷんごにサスガスーパーへ到着とうちゃくした、三人さんにんはすぐに二階にかいにあるアクセサリーショップにかった。

「ねえねえ、どれう?」

わたし、これが一番いちばんいいとおもううけど、どうかな?」

似合にあっているよ、ゆいちゃん。」

「ねえねえこのペンダント、SNSえするんじゃない?」

三人さんにん仲良なかよくアクセサリーをていると一階いっかいから悲鳴ひめいのようなおとがした、そして十人じゅうにん男達おとこたち二階にかいがってきた。

男達おとこたち全員強面ぜんいんこわもてでヤクザの風貌ふうぼうをしていた。

「いいか、このスーパーは俺達おれたち支配しはいした。いまからおまえらは一階いっかいりることを禁止きんしする!!」

三人さんにんはその光景こうけい騒然そうぜんとした。

「ねえ、あの人達ひとたちヤクザ?」

「なんかヤバそう・・・げよう!!」

「そうね、はなれましょ。」

三人さんにんげようとすると、おとこ一人ひとりに「て!」とめられた。

「なんですか?」

「お前達まえたち、どこへこうとしていた?」

「どこへこうといいでしょ?」

「なに?さっきの宣告せんこくこえなかったのか!?」

こえたわよ、でもあたしはあんたたちことなんかかないから。」

おこおとこ斎藤さいとうかない、宮前みやまえ藤宮ふじみやはヒヤヒヤしながら見ている。

「ガキのくせにめるんじゃねえ、一発殴いっぱつなってやらないとわからないようだ。」

「へえ、おんななぐるなんてたいしたものだよ。でもわたし普通ふつうおんなじゃないんだよね。」

斎藤さいとうおとこ挑発ちょうはつした。

おれとやるつもりか、一捻ひとひねりにしてやる!」

「じゃあはじめよう。」

すると斎藤さいとうっていたカバンからスマホをすと、二人ふたりかってげた。

スマホは藤宮ふじみやがキャッチした。

「これでブンガブンガを!」

「おまえ、なにをげた。」

スマホにられているおとこはら斎藤さいとうはケリをきめた、宮前みやまえ藤宮ふじみやはそのからした。







同日どうじつ、イーサンはマジックの稽古けいこをしていた。

するとスマホがった、斎藤さいとうからの通話つうわだ。

「もしもし、イーサンだよ。」

「イーサン、わたしよ。」

小声こごえだが斎藤さいとうではなく藤宮ふじみやこえだった。

藤宮ふじみや、どうしたの?」

宮前みやまえ斎藤さいとう一緒いっしょにサスガスーパーへていたんだけど、こわかんじのおとこたちがサスガスーパーを占拠せんきょしたみたいなの。」

「えっ!!斎藤さいとうは!?」

こえおおきいわ、彼女かのじょおとこたちにかっていったわ。そのおかげでわたし宮前みやまえげきれたわ。」

「わかった、みんなをれてすぐにくよ。」

藤宮ふじみやが「ちょっとって」といかけたとき通話つうわ一方的いっぽうてきられていた。






イーサンは藤宮ふじみやとの通話つうわると、武田たけだ神島かしま文道ぶんどう風間かざまに「大島家おおしまけ集合しゅうごう」と連絡れんらくした。

十分後にじゅっぷんご全員ぜんいん大島家おおしま集合しゅうごうした。

「イーサン、どうしたんだ?きゅうして」

「ヤクザたちがサスガスーパーを占拠せんきょしたみたいなんだ、なか斎藤さいとう宮前みやまえ藤宮ふじみやがいる。」

「え!そのヤクザたちって、長篠組ながしのぐみのやつらか?」

「おそらくそうだとおもう、名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうへのはらいせにやったんだ。」

斎藤さいとうたちは無事ぶじかな・・・。」

斎藤さいとう一人ひとりでヤクザたちとたたっているみたい。」

無茶むちゃするぜ、あいつは。」

なんだって、それは危険きけんだ!!」

はなしいていたいた大島おおしまった。

「だからぼくたちでたすけにこう!!」

「それも危険きけんだ、気持きもちはわかるがここはわたしまかせなさい」

いやだ、斎藤さいとうたちを見捨みすてられないよ!」

イーサンが抗議こうぎした、ほかのメンバーもそれに賛同さんどうした。

「わかった・・・、きみたちは仲間思なかまおもいだからな。」

するとインターホンがった、大島おおしまがインターホンのカメラをるとイーサンをんだ。

大島おおしまさん、どうしたの?」

「イーサン、ファーザーだよ。」

『ハイ、イーサン。かえってたよ!!』

「パパだ!!」

大島おおしま玄関げんかんけるとイーサンのちち・ジェームスがはいってきた。

「イーサン、イギリスからかえってたぞ!!」

「パパったら、本当ほんとうにいつもきゅうだから・・。」

「もしかして、イーサンの親父おやじか?」

「ああ、本物ほんもののイギリスじんだ。」

するとジェームスはほかのメンバーにがついて、挨拶あいさつをした。

「オー、これがイーサンのフレンドか。いつもイーサンがお世話せわになっています。」

「ねえパパ、このあとちからしてくれない?」

「OK、それでどうしたの?」

イーサンはジェームスに斎藤さいとうたちのこと説明せつめいした。

「フレンドは大切たいせつだ、パパもよろんでちからすぞ!」

「ありがとう、パパ!」

そしてここで電話でんわ会話かいわからはずれていた大島おおしまかららせをけた。

「どうやら四十人よんじゅうにんのヤクザがサスガスーパー店内てんない占拠せんきょしているようだ、店内てんないには巡回員じゅんかいいんとしておくんだメンバーが三人さんにんいる。ヤクザらの目的もくてきはサスガスーパーの社長しゃちょうわせてほしいというものだ。制限時間せいげんじかん六時間後ろくじかんごまでだ。」

四十人よんじゅうにんもいるのか・・・。」

「それって無理むりゲ―じゃないのか?」

「なにビビってんだ文道ぶんどう相手あいておおほう面白おもしろいにまってる。」

「あれをってくるか・・・。」

「よし、それじゃあ各自準備かくじじゅんびしてまたここにて。全員ぜんいんそろったら出発しゅっぱつだ。」

大島おおしまが言うと、イーサンは右手みぎてこぶしにしてげた。

「それじゃあいくよ、ぼくらは・・・・。」

「ブンガブンガ!!」

チーム・ブンガブンガ全員ぜんいんとジェームスがさけんだ。





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