第7話長篠組の策略

八月二日午後五時はちがつふつかごごごじ羽柴はしばのところに電話でんわがかかってきた。電話でんわこえ桐島きりしまだった。

組長くみちょう桐島きりしまです・・・。」

桐島きりしまこえおもい、くないことだと直感ちょっかんした。

「どうした、何があった?」

じつはサスガスーパーが、我々われわれ裏切うらぎったようです。」

なんだと!!どういうことか、説明せつめいしろ!!」

羽柴はしば怒鳴どなりだした。

「どうも名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうにそそのかされたようです、我々われわれおどしもハッタリだとってもう効きません。」

名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうだと・・・。」

名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうことうわさった。

大島財閥おおしまざいばつ長男ちょうなん大島愛知おおしまあいちをリーダーとする秘密結社ひみつけっしゃで、大島おおしま人並ひとなはずれたの人望じんぼう人脈じんみゃくでメンバーは千人せんにんえるといわわれている。

別名べつめい名古屋防衛隊なごやぼうえいたい」とわれるとお名古屋市民なごやしみん安全あんぜんとトラブル解決かいけつ目的もくてき活動かつどうし、名古屋市長なごやしちょう愛知県警あいちけんけいからも一目置いちもくおかれる秘密結社ひみつけっしゃだ。

「とにかくふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃい、早急そうきゅう会議かいぎひらく。」

「わかりました。」

桐島きりしまとの通話つうわると、苛立いらだったかおくるまんでふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃへ向かった。

十分後にじゅっぷんご到着とうちゃくくるまからりると、桐島きりしまさき到着とうちゃくしていた。

組長くみちょうきゅうもうわけありません。」

「そんなことはいい、それより正社員せいしゃいんみなにはらせたか?」

正社員せいしゃいんとは長篠組ながしのぐみのメンバーのことで、ふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃではアルバイトとけてんでいる。

「はい、みんなもう来ています。」

羽柴はしば桐島きりしま会社かいしゃなかにある会議室かいぎしつはいった。

「社長、ご苦労様です。」

「みな、ありがとう。」

羽柴はしばせきすわると緊急会議きんきゅうかいぎはじまった。

「では桐島きりしま状況じょうきょう説明せつめいをたのむ。」

本日ほんじつりにかったところ、笹本ささもとから二度にどとるなとわれました。どういうことだとめたところ、大島家おおしまけ移動販売いどうはんばい提案ていあんされ社長しゃちょう相談そうだんした結果けっか実行じっこうすることになった。だからおまえらにまわ商品しょうひんいとわれました。ついでに大島から「市長しちょうがスーパーマーケットの営業許可書えいぎょうきょかしょ剥奪はくだつするのは不可能ふかのうだ!」とわれて、りつくしまもない状態じょうたいです。」

そのほか系列店けいれつてんからもふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ商品しょうひんまわさないことにするというらせが相次あいついだという。

「これではふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ商品しょうひんはいらなくなる、大島おおしまのやつめやってくれたな・・・。」

羽柴はしばいかりにえた表情ひょうじょうになった。

「アルバイトたちはすでにらせましたが、この状況じょうきょうはよくありません。」

一体いったいどうすれば・・・、いっそのこと正規せいきのルートで仕入しいれますか?」

「そんなことしたら格安かくやすれなくなるだろ、ほか方法ほうほうはないのか!!」

組員くみいんたちはかんがんだ。

ねらいをほかめたらどうでしょうか?」

「それはダメだ、サスガスーパー以外いがいでこのあたりにあるのは大手企業おおてきぎょうのスーパーだ。おどしたらぐにサツをぶにまっている。」

「それでは一体いったいどうすれば・・・。」

会議かいぎづまってきたころ会議室かいぎしつ清藤きよふじが入ってきた。

羽柴はしば、かなり大変たいへんなことになっているそうだな・・・。」

清藤きよふじ、どうしてここに!?」

「すみません、わたしびました。」

桐島きりしまった。

桐島きりしまめるな、かれはいい判断はんだんをしたんだ。」

「そうだな、よくやった桐島きりしま。」

羽柴はしば桐島きりしまめなかった。

「それでサスガスーパーがことかなくなったんだって?」

「はい、それで商品しょうひんはいらなくなってこまっています。」

「そうか・・・、人間一度にんげんいちど反抗はんこうするものだからな。だったらこちらのおそろしさをもう一度いちどわからせるしかない。」

清藤きよふじ無表情むひょうじょうかおつぶいた、つめたくひかり、そばにいた羽柴はしば桐島きりしまはおもわずいきをのんだ。

「もう一度、脅すということですか?」

「ああ、しかしおおっぴらにやるのではない。すこしづつ恐怖きょうふあたえていくのだ。」

「なるほど、いやがらせということか。」

「こういうことはお前達まえたち得意分野とくいぶんやだ、よろしくたのむぞ。」

清藤きよふじ一言ひとこと長篠組ながしのぐみ全員ぜんいんがうなずいた。

「それではふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃ今後こんご運営うんえい一体いったいどうすればいいのでしょうか?」

「しばらく臨時休業りんじきゅうぎょうだ、バイトのものたちにもっておけ。」

「わかりました。おい、だれかアルバイトらにつたえておけ。」

羽柴はしばわれて組員くみいん一人ひとり会議室かいぎしつからた。

「それではわたしはもうくよ、くれぐれも大事おおごとになるようなことがないように。」

そううと清藤きよふじ会議室かいぎしつあとにした。

「さすが清藤きよふじだ・・・、あのしたたかさはわってない。」

組長くみちょう、あのおとこはやはりおそろしいです。いつかいたにあうがします。」

「おめえ、そんなにゆびめてえのか・・・?」

桐島きりしまくちがすべったことに気付きづいて、あわてて羽柴はしばあやまった。






それから長篠組ながしのぐみはサスガスーパーへのいやがらせを開始かいしした、毎日各店舗まいにちかくてんぽ入店にゅうてんして大声おおごえさわいだり、惣菜そうざいコーナーの総菜そうざい素手すでさわったりと無銭飲食むせんいんしょく万引まんび以外いがい迷惑行為めいわくこういを、おもいつくかぎ実行じっこうした。

しかしサスガスーパーもけなかった、すぐに名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうらせて店舗内てんぽない巡回じゅんかいするようにおねがいした。そのため名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうのメンバーが各店舗かくてんぽ巡回じゅんかいするようになり、長篠組ながしのぐみいやがらせがやりにくくなってしまった。

八月十日はちがつとおか午後六時ごごろくじ長篠組ながしのぐみ事務所じむしょいやがらせにかっていた組員くみいんたちがかえってた。

「ご苦労くろうさん、状況じょうきょうはどうだ?」

「いやあ、とてもきついですよ。名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうのメンバーが見張みはっているから、やりにくいです。」

わたしのところはつぎにやったら、警察けいさつぶとまでわれています。これ以上いじょうやったら、こちらがやられてしまいますよ。」

「そうか・・・、つぎさくかんがえなければ・・・。」

桐島きりしまあたまかかえていると、羽柴はしばがやってきた。

桐島きりしまいやがらせは上手うまくいっているか?」

「それがサスガスーパーも対策たいさくしたようで、効果こうかはありません。」

なんだと、どうなっているんだ!!」

名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごうらせて、巡回じゅんかいさせてもらっているようです。」

「おのれ・・・ここでもやつらがでしゃばるか!!」

羽柴はしばはカッとなってテーブルをなぐった、直後ちょくごいためてかおをしかめた。

「いてて・・・、こうなったら戦争せんそうだ!」

組長くみちょう一体いったいどういうことですか?」

「あいつらが巡回じゅんかいしているサスガスーパーを、われらで占拠せんきょするのだ!!」

羽柴はしば提案ていあんに、組員くみいんたちは賛同さんどうした。

「それはいい、すぐにやろう!」

「あいつらに長篠組ながしのぐみおそろしさをおもらせてやる!」

血気盛けっきさかんな組員くみいんたちに、桐島きりしま狼狽ろうばいした。

「そんなことしたら、サツに通報つうほうされますよ!」

かまうもんか!ヤクザは秘密結社ひみつけっしゃ警察けいさつよりつよいんだ!!」

冷静れいせいうしった羽柴はしば桐島きりしま忠告ちゅうこくとどかなかった。

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