第6話少年たちのちんどん屋

八月三日はちがつみっか、イーサンは自宅じたくでメンバー全員ぜんいん招集しょうしゅうして、大島おおしまからいたはなしはなした。

「つまりふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃは、暴力団ぼうりょくだん運営うんえいしているということか。」

武田たけだった。

「それって、かなりヤバイぜ。俺達おれたちねらわれているかもしれない・・・。」

文道ぶんどう恐怖きょうふふるえあがった。

「なにビビってんだ、文道ぶんどう相手あいてがヤクザなら上等じょうとうだぜ。」

「そうよ、そいつらスーパーから商品しょうひんうばってかせいでいるんでしょ?だったらやっつけるしかないよ!!」

神島かしま斎藤さいとうは、たたかうつもりでいる。

「やっつけるかどうかはべつにして、明日あしたのショーの打合うちあわせをしよう。」

イーサンの号令ごうれいにメンバー全員ぜんいんしたがった。

「まず花形はながたは、イーサンのマジックショー。」

「そして前座ぜんざだれがやる?」

ぼくがやる。」

文道ぶんどうげた。

「そういえば、けんだまうでげたっんだって?」

「ああ、あたしいわざ習得しゅうとくしたんだ。」

文道ぶんどう父親ちちおや影響えいきょう三歳さんさいからけんだまはじめ、いまではプロレベルの腕前うでまえとなっている。

「じゃあ、そのつぎは・・・。」

おれ神島かしまで、せんおう試合しあいをする。」

武田たけだった。

せんおう幅広はばひろ人気にんきのあるトレーディングカードゲームで、「チーム・ブンガブンガ!」でも斎藤さいとうのぞいた全員ぜんいんがハマっている。

「じゃあ、どっちがつかけさせようぜ。てることができたら、商品券しょうひんけんをプレゼントするみたいにさ。」

「じゃあ五回ごかい対戦たいせんして、対戦たいせんごとにどっちがつかけさせよう。三回連続さんかいれんぞくてられたら、商品券しょうひんけんをプレゼントしよう。」

「いいね、じゃあつぎは・・・。」

わたし瓦割かわらりチャレンジ!!」

斎藤さいとう名乗なのた。

「うん、そしてつぎは・・・。」

おれのロボットのお披露目ひろめ。」

風間かざまった。

最近さいきん、ようやく自信作じしんさく完成かんせいしたんだ。きっとみんながおどろくぜ。」

風間かざま自信じしんれた表情ひょうじょうをした。

「よし、これで全員ぜんいんものまった。当日とうじつまで時間じかんはないけど、練習れんしゅうできるもの練習れんしゅうしてくれ。これで打合うちあわせはわり。」

「あの、解散かいさんするまえにおれのはなしいてくれないか?」

神島かしま突然口とつぜんくちひらいた。

「どうしたの、神島かしま?」

「おれのいもうとが、あの廃墟はいきょでおばけをたというんだ。」

いもうとって、りんちゃんのこと?」

「ああ、なんでもひとけていたらしい。あやうくおばけにされるところだったって、いまでもふるえている。」

廃墟はいきょってどこの?」

おれ団地だんちちかくにある、もとスーパーマーケットのやつ。」

イーサンははっとした。まぎれもなくそこは昨日きのう名古屋老若連合なごやろうにゃくれんごう集会しゅうかいった、ふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃがある場所ばしょだ。

「イーサン、どうしたんだ?」

「そこ、ふくダンボール株式会社かぶしきがいしゃだ。」

「はあ?あそこは廃墟はいきょだろ、会社かいしゃじゃないぜ。」

「いや、そうかもしれない。やつらは違法いほう商売しょうばいをしているんだ、あの廃墟はいきょかくにしている可能性かのうせいはある。」

武田たけだった。

「そうか・・・、りんなにもなければいいが・・。」

神島かしま表情ひょうじょうはもしもの不安ふあんちていた。





八月三日はちがつみっか、サスガスーパーの移動販売いどうはんばい当日とうじつむかえた。

午前五時三十分ごぜんごじさんじゅっぷん大島家おおしまけにメンバー全員ぜんいん集合しゅうごうし、マイクロバスにんだ。

今回こんかい宣伝せんでん協力きょうりょくしていただき、ありがとうございます。今日きょう活躍かつやく期待きたいしています。」

笹本店長ささもとてんちょうがメンバー全員ぜんいんあたまげた。

そしてサスガスーパーの営業車えいぎょうしゃとマイクロバスが発車はっしゃした。

サスガスーパーの営業車えいぎょうしゃうしろに、大島おおしま運転うんてんするマイクロバスがつづいた。

マイクロバスには衣装いしょうておめかしをした、メンバー全員ぜんいんすわっている。

午前六時ごぜんろくじ神島かしま団地だんち到着とうちゃくすると、営業開始えいぎょうかいしだ。

「さあ、本日ほんじつからサスガスーパーは移動販売いどうはんばいはじめました。今回こんかい初営業はつえいぎょう記念きねんして、少年達しょうねんたちのちんどんがやってきました。たのしいショーを開催かいさいする予定よていです。みなさん、たのしんでいってね~」

営業車えいぎょうしゃからながれるアナウンスと音楽おんがくわせて、メンバー全員ぜんいん楽器がっきらしながらおどっている。

早朝そうちょうからさわぎに、団地だんち住民じゅうみん注目ちゅうもくまととなった。

そしてそれにつられた住民じゅうみんたちが、サスガスーパーの営業車えいぎょうしゃあつまってきた。

午前七時ごぜんしちじ、いよいよショーのはじまりだ。

「それではこれより、少年達しょうねんたちのちんどんによるショーのはじまりです。まずは文道君ぶんどうくんのけんだま奥義おうぎをおたのしみください。」

文道ぶんどうがけんだまってまえてきた。

文道ぶんどうあざやかにけんだまわざきめめていき、そして大技おおわざ・ワールドウィンドをきめた。

盛大せいだい拍手はくしゅけ、文道ぶんどう充実感じゅうじつかんちた。

文道ぶんどうさん、ありがとうございました。次はせんおう対戦たいせんです。ここではお客様達きゃくさまたち勝敗しょうはいてていただきます、三回連続さんかいれんぞくてられたら三千円さんぜんえん商品券しょうひんけんをプレゼントします。」

武田たけだ神島かしまによる対戦たいせんはじまった。

このイベントには子供達こどもたちおおくあつまってきた。

試合しあい結果けっか接戦せっせんすえ武田たけだ勝利しょうりわった。商品券しょうひんけんをプレゼントされたのは、小学五年生しょうがくごねんせい男子だんしだった。

白熱はくねつした勝負しょうぶをしてくれた武田たけださんと神島かしまさん、ありがとうございました。つづいては、斎藤さいとうさんの瓦割かわらりです。それではよろしくおねがいします。」

かわらがお客達きゃくたちまえまれ、道着どうぎ着替きがえた斎藤さいとうあらわれた。

斎藤さいとうれいをすると、まずは一枚いちまいかわら余裕よゆうった。

つぎ五枚ごまい、これも成功せいこうした。

つぎ十枚じゅうまい、これもまた成功せいこう

そして十五枚じゅうごまい、これができたら斎藤さいとう自己じこベスト更新こうしんだ。

斎藤さいとう精神せいしん集中しゅうちゅうさせると、「やあっー!」とさけびながらげられたかわら手刀てがたなたたきつけた。

かわら一気いっきれて、すべ一刀両断いとうりょうだんされた。

斎藤さいとう自己じこベスト更新こうしんとお客達きゃくたち盛大せいだい拍手はくしゅに、うれしくなってがった。

斎藤さいとうさん、素晴すばららしい瓦割かわらりをありがとうございました。つづいては風間君かざまくん制作せいさくしたロボットのお披露目ひろめです、それではよろしくおねがいします。」

風間かざまはアームがたのロボットをお客達きゃくたちまえってきた。

そしてアームがたのロボットを操作そうさして、雑誌ざっしのページをめくったり、鉛筆えんぴつっていたりと、本物ほんもの人間にんげんさながらのうごきをせた。

これには子供こども大人おとな釘付くぎづけになり、ロボットと握手あくしゅするひとまであらわれた。

そして風間かざま最後さいごにロボットと一緒いっしょって、まくいた。

風間かざまさん、ありがとうございました。さあいよいよショーもクライマックスになりました、最後さいご花形はながたかざるはイーサンのマジックショーです!それではどうぞ!」

イーサンがシルクハットをかぶりながら派手はで衣装姿いしょうすがたあらわれた。

オープニングでイーサンはシルクハットからハトをし、お客達きゃくたちげた。

そしてトランプのマジックに、花瓶かびんはなえるマジック、そしてプロさながらのイリュージョンを披露ひろうした。

こうして一時間三十分いちじかんさんじゅっぷんわたるショーはすべ終了しゅうりょうした。

サスガスーパーの本日ほんじつ売上うりあげ好調こうちょうとなり、「チーム・ブンガブンガ!!」のメンバー全員ぜんいん達成感たっせいかんあふれた。

そして八時三十分はちじさんじゅっぷんに、サスガスーパーの営業車えいぎょうしゃとマイクロバスは撤収てっしゅうした。

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