お題:深夜

 午前2時。最も暗い時間。

 本当は寝ていないといけない宵の中、何をするでもなく寝転んでいる。何故だか眠れない。眠れないのなら、そうなりにこの時間を好きになることにした。

「……」

 意味のない時間、というのを現代のすごい人たちは嫌うけれど。酔生夢死があってもいいじゃないか。努力でなくても、何も残らずとも、人生なんだから。

「……、……」

 今夜もぼうっとしていよう。

 遠くからバイクのうるさい鳴き声が聞こえる。隣の部屋から、夜更かしの気配を感じる。天井も床も、見つめれば何かがあるように見えてくる。

 そんな、どうでもいいことでいいじゃないか。

「…………」

 見た動画は朝になれば全部忘れているけれど。

 考えたことなんて何一つ覚えてやしないけど。

 得るものなんてどこにもありはしないけれど。

 眠れない六畳半は、それなりに好きだ。

「………-……-、……」

 朝になれば何も残らないこの世界が、好きだ。

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