お題:寿司

「お前とはいつか決着をつける必要があると思ってた」

「同感だ。白黒はっきり付けようぜ」

 男二人が火花を散らす。張り詰めた熾烈な戦いを予感させる。そして、口火が切られた。

「回転寿司で一番美味いのは変わり種だろうが!」

「シンプルな寿司を手ごろに食えるのが魅力なんだよ!!」

「くだらねー……」

 男子高校生らしい、どうでもいい口喧嘩に挟まれた少年が気だるげに茶をすする。

「お高い店じゃ味わえねぇ美味さがいいんだよ!」

「大概のモンはチーズだのマヨだのかけときゃ美味くなるんだよ邪道野郎! シャリと魚を楽しめ!」

「味が薄いんだよ!」

「舌がバカになってるだけだろ!」

 平行線をたどる口喧嘩のいきつく先は、第三者の意見だ。

「「お前はどう思う!?」」

「俺、回転寿司はサイドメニューとデザートしか食わない」

 答えた瞬間、茶碗蒸しが届く。

「好きなモン食えばよくね」

「……そうだな」

「勝負はお預けだ。でも、寿司屋のデザートってそんな美味いか?」

「俺も食わないしな」

「……お前ら表出ろ。戦争だ」

 食の好みというジャンルにおいて、新たな火種は尽きない。

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