お題:保健室

「あぢー」

「ねー」

 蝉の声も聞こえないのに、茹だるような日差しの昼下がりだった。

 私たちは真っ白なベッドに寝転んで、これまた汚れひとつない天井を見つめる。

「ヒマだわー」

「スマホ充電切れちゃった」

「購買も開いてないしさー」

「おやつもないねー」

 だらけきった空気は、口調すら悠長にさせてくれる。溶けたアイスのような、無意味でくだらない時間。

 時は金なりと言うけど、私はこんな浪費も好きなのだ。

「あら、まだいたの?」

「せんせー、しんどいっす」

「っすー」

「しょうがないわね、もう」

 普段はそれなりに真面目にやってるからこそ、こんな時間が許されることもある。やっちゃダメなことぐらいは判断できるけど、真面目なだけじゃつまらないじゃないか。

「あぢー」

「ねー」

「アイスの実、食べる?」

「「いただきゃーす」」

 とっても静かな午後1時。どうでもよすぎて明日には忘れるような、最高の時間が過ぎていく。

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