お題:はがき
『おーい、コレ届いた?』
メッセージに添付されていた写真には、古びたはがきが映っていた。
『届いてないと思う』
『探してみ?』
促されるままにドアの投函口を見ると、封筒が入っていた。宛名には子どもの書いたような字で『10年後へ』とある。
『小学校のときのやつ?』
『そうそう』
封を開け、中を見る。
我ながらきったない文字だと思ったとき、それに気付いた。
「……え、あたしじゃなくね?」
あたしへ向けられた手紙であるのは間違いなかった。だが、その手紙の送り主はあたしとメッセージで会話しているこいつだった。
『どういうこと?』
『友達宛てに書いたじゃん。俺はお前に、お前は俺に』
たしかに、そう言われるとそうだった気もする。好きな友達数人に面と向かって言えないようなことをはがきに書いて届ける……みたいな授業だった。
『なに書いたか覚えてる?』
『知らん』
『俺と同じような内容だったぞ』
よくもまあ自分の書いたことを覚えてるもんだと思ってはがきの文章を読む。
あたしは頭を抱えた。
『捨てろ』
『やだ』
『捨てろ!!!!!』
『永久保存版だ!』
10年後もなかよくしてね。
だいすき!
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