お題:広告
「づぁああ、またか!」
「どったの」
突如としてスマホを前に叫び出した男友達がいたので、私は興味本位で画面を覗き込む。
開かれていたのは動画投稿サイトで、動画前の広告が流れている。その内容というのは、裸の女性が気持ちよさそうにあえいでいるイラストを用いた、脱毛サロンのものだった。
「ああー、ウザいやつね」
「ゆっくり実況見てただけだぞ!?」
「広告主が少ないんじゃない? ほら、画面端のここ押すと通報できるよ」
「え、マジか。知らなかった」
まあ、焼け石に水ではあるのだけど。
こういった手合いは似たような内容のマイナーチェンジをいくつも広告に出している。公衆の面前に卑猥な猿芝居をまき散らすはた迷惑な広告に引っかかる人間が未だにいるのかは疑問だが。
「助かったわ。にしても、なんでこんなのが出てくるんだろうな?」
「さぁ? ……あ、そういえば普段見てるサイトの傾向とかから広告って選ばれるんだってさ」
つまりは……まあ、男子はそういうものだろう。
別に責めるようなつもりはないが、おちょくるような調子で言った。
「えっち」
「ち、違う! 違うかんな!?」
「かんな。ほほーん」
「やめろバカか!?」
お顔真っ赤で否定する彼は、気付く様子がなかった。
私もその広告を知っているということは、そういうことだというのに。
「絶好のチャンスを逃しちゃったねぇ」
「なにがだよ?」
「べっつにー?」
まだまだ遊べそうだと確信し、私はにやにやと笑みをこぼすのだった。
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